建築計画学、建築史、近代史。幕末から明治・大正期にかけての盲唖学校(盲人・ろう唖者が通学する学校)について、建築空間・社会・文化から考察している。近著に『点字以前』(2019)『伊沢修二と台湾』(2018)など。https://tmtkknst.com/
横浜国立大学 × DOOR to DOOR
コンタクト:惑星のなかのこの身体 ―現代芸術論―
第2回:11月19日(火)13:00-14:30
講師:
木下 知威(日本社会事業大学)/真下 貴久(訪問介護事業所たかのわ 代表)
第2回は前回講師のALS当事者の真下貴久さんと、ろう当事者の木下知威さんにご登壇頂き、各2名の通訳者・介助者がついての対談が行われた。
木下さんは、真下さんの記事を読んで山月記を想起したという。
作中で虎になった主人公李徴は、訳も分からず変化した自分を受け止め生きていく。
李徴と自身を重ね、真下さんは「ALSになった理由を考えることは一番苦しく、今を見失うので深く考えない。」
木下さんも「耳が聴こえない理由を考えると物語を紡いでしまう恐れがある。謎は謎のまま残した方が美しい。」と語った。
木下さんの論考『ひとりのサバイブ』内の、人は固有の群立の中でコヒージョン(凝集)/コヒージョンレス(分散)を反復しながら「ひとり」になる方法を探している、という点についての意見交換がなされた。
木下さんは、誰かと一緒にいる機会が乏しく、満員電車や映画館といった群衆の中で聴こえないために孤立することがあるという。
一方の真下さんは、「365日24時間誰かの助けが必要な自分には、プライベートが一切ない。自ら人がいる環境を作っているのに、1人になりたい矛盾がある」と語った。
最後に、絶句するが我々もいずれ身体の自由が失われるのは間違いない。それゆえにある種の遠さとある種の近さを感じるのだろう、と榑沼教授により締めくくられた。
木下さんは、真下さんの記事を読んで山月記を想起したという。
作中で虎になった主人公李徴は、訳も分からず変化した自分を受け止め生きていく。
李徴と自身を重ね、真下さんは「ALSになった理由を考えることは一番苦しく、今を見失うので深く考えない。」
木下さんも「耳が聴こえない理由を考えると物語を紡いでしまう恐れがある。謎は謎のまま残した方が美しい。」と語った。
木下さんの論考『ひとりのサバイブ』内の、人は固有の群立の中でコヒージョン(凝集)/コヒージョンレス(分散)を反復しながら「ひとり」になる方法を探している、という点についての意見交換がなされた。
木下さんは、誰かと一緒にいる機会が乏しく、満員電車や映画館といった群衆の中で聴こえないために孤立することがあるという。
一方の真下さんは、「365日24時間誰かの助けが必要な自分には、プライベートが一切ない。自ら人がいる環境を作っているのに、1人になりたい矛盾がある」と語った。
最後に、絶句するが我々もいずれ身体の自由が失われるのは間違いない。それゆえにある種の遠さとある種の近さを感じるのだろう、と榑沼教授により締めくくられた。
講師プロフィール
日本社会事業大学
木下 知威
訪問介護事業所たかのわ 代表
真下 貴久
1980年12月大阪府堺市生まれ、2015年2月 34歳の時にALSを発症。
現在ALS当事者の立場から、「人との出会い、つながりは、病気を乗り越えることができる」との思いを持って活動を続ける。2019年8月より自ら訪問介護事業を起業。