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2020
9/12

アートプロジェクト実践論

講師: 奥山 理子(東京藝術大学 非常勤講師)
今、全国各地で様々なアートプロジェクトが展開されています。「リレーショナル・アート」「ソーシャル・エンゲイジド・アート」とも言い表されるように、作品中心的な考え方ではなく、作品を通して人と社会や、アーティストと社会をつなげていく、「関係性」を重視したアートの形を指します。とくに最近では、地域社会や社会包摂もアートプロジェクトの重要なテーマとなっています。今年の講義はオンライン開催となりましたが、その中で様々なアートプロジェクトをリサーチし、ディスカッションしながら学びを深めました。

(1)9月12日(土)14:00-16:00
導入①「日常とアートの境界を考えてみよう」
導入②「アートプロジェクトとは」
内容:10枚の写真を見ながら、「日常とアートの境界線」を考えるところから授業は始まりました。
後半は、これまでのみずのき美術館やTURNでの活動を紹介しつつ、「アートプロジェクトとは何だろう?」ということを考えました。
最後にこれまでの日本のアートプロジェクトの歴史がまとめられた課題図書と課題が発表されました。

(2)9月13日(日)10:00-16:00
課題①「アートプロジェクトを探して調べてみよう」
内容:課題図書を読み、日本各地で取り組まれている/取り組まれたアートプロジェクトを1つ選び、そのアートプロジェクトの概要、特徴、課題、考察をまとめ、レポートにして提出します。次回の授業で、指名された受講生が発表します。

(3)9月19日(土)13:00-16:00
前半:発表「古今東西アートプロジェクト調査結果」
後半:話題提供とディスカッション
内容:全国各地のアートプロジェクトを各自が調べ、レポートにまとめたものを発表し、その後、zoomのブレイクアウトルームで3人組に分かれてディスカッションを行いました。「アートプロジェクトと、その他のイベントとはどう違いがあるか?」「アートプロジェクトは誰/何に還元されるべきものだろうか?」などをテーマに話し合いました。

(4)9月20日(日)
前半 「Socially Engaged Art 」ゲスト講師:James Jack
後半 課題②「世界のSocially Engaged Artを調べてみよう」
内容:アーティストであるJames Jack氏をゲストに迎えての講義。始めに、「ピコ」(ハワイ語でへそ、中心の意味)と呼ばれる図を見ながら自分の感覚を確認する瞑想のような時間を体験し、James氏がハワイと日本(世田谷)で行なった活動を紹介してもらいました。奥山先生と対談形式で進行され、最後にJames氏から質問がなげかけられました。
後半は課題2を各自で取り組みました。ウェブサイトを参照に、世界各国のアートプロジェクトのリサーチを行い、レポートにまとめる課題を行いました。

(5)9月26日(土)10:00-16:00
発表「世界のSocially Engaged Art事情」
話題提供とディスカッション「福祉とアートプロジェクトは接続可能か」
まとめ「日常とアートの境界を考えてみよう」
内容:前半はリサーチした課題を発表。後半は、奥山先生の生い立ち〜みずのき美術館でのプロジェクトへつながっていくお話がレクチャーされました。最後のディスカッションとして、「アートプロジェクトはソーシャルワークができるだろうか?
ソーシャルワークはアートプロジェクトができるができるだろうか?」というテーマで、時間をかけて4人組で話し合ってもらいました。最後に全チームから発表してもらい、奥山先生から総括をしていただきました。
そして、最後の課題として、初回授業で行なった「日常とアートのイメージマップ」を作成し、授業の感想とともに提出してもらいました。

世界や日本で取り組まれているアートプロジェクトの状況を知りつつ、受講生同士でディスカッションを重ねることで豊かな時間になったと思います。

講師プロフィール

東京藝術大学 非常勤講師

奥山 理子

1986年生まれ、京都府出身。母の障害者支援施設みずのき施設長就任に伴い、12歳より休日をみずのきで過ごす。2007年以降の法人主催のアートプロジェクトや農園活動にボランティアで従事した後、2012年みずのき美術館の立ち上げに携わり、現在企画運営を担う。
企画、制作した主な展覧会に「ayubune 舟を作る」(2014年)、日本財団アール・ブリュット美術館合同企画展2014-2015「」(2014- 2015年)、「共生の芸術展『DOOR』」(京都府委託事業、2014年、2015年)、など。2015年より、アーツカウンシル東京TURNコーディネーター。