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2025
12/12

人間形成学総論 第8回 まとめ ~私たちを対話へと向かわせるもの~

講師: 渡邊祐子(東京藝術大学 非常勤講師)
前半では、前回授業で行った「マイ・ミュージアム・ボックス」の鑑賞と対話の時間を改めて持ちました。

渡邊先生から指名された受講生が自分の作品(ボックス)の解説を行い、次に気になった作品を指名して、その作者がまた解説するという流れを繰り返し、対話を進めます。

作者本人が作品について解説することで、鑑賞者には「新たな発見」や「認識の変化」が起こること、そしてまた、鑑賞者が気付いた作品の特徴を作者が聞くことで、作者は受容を経験し新たな視点を得ることを、この鑑賞を通して実際に体験していきました。

人間形成学総論の最後の講義は、「対話」について。

普段の生活における会話では、人の話を聞いているようで聞き流してしまうことがあり、こうした「弊害」が起こる時、個人の内部で起こっていることについて確認していきます。

自身の経験がゆえに他者の言葉が耳に入らなくなってしまう傾向や自己の内部の雑音(心の貧困を満たしたいがあまり周囲にばかり気をとられる「注意散漫」や過去の出来事を気にして現在に目を向けられない「持ち越し」)といった内容です。

対話とは、自分を一度脇においやって、相手の視点で世界を見ようとすることにあり、この感覚を体感として獲得していくことが学びには重要となること、そして、真に対話が生じた証とは、自分の内面の変化(行動の変化)が起きるという考察を導いていきました。

そして、相手の存在を認め承認していくためには「自分の人生で蓄えた力」が活かされていくことを確認しました。

最後に、「私たちの成熟に向けて」として、これまでの内容をまとめながら「対話」が繰り返し得ない「生きたもの」であるとして、講義を結びました。

講師プロフィール

東京藝術大学 非常勤講師

渡邊祐子

東北大学大学院教育学研究科博士課程を修了後、都内の大学で教育学の教鞭をとる。専門は生涯学習、美術館教育の実践。2016~21年には、東京都美術館より専門家委託として、Museum Start あいうえのプログラム・オフィサーに従事。