1991年東京生まれ。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科を首席で修了、同研究科博士後期課程単位取得退学。草間彌生美術館、金沢21世紀美術館の学芸員を経て、アジア現代美術を軸とした私設アートセンターPAN沖縄準備室キュレーター。主な企画及び担当展覧会に、「ZERO IS INFINITY 『ゼロ』と草間彌生」(2020、草間彌生美術館)、「時を超えるイヴ・クラインの想像力─不確かさと非物質的なるもの」(2022、金沢21世紀美術館)、「コレクション展1 それは知っている:形が精神になるとき」(2023、金沢21世紀美術館)など。また、タイランド・ビエンナーレ・コラート2021、第7回モスクワビエンナーレ「Clouds⇆Forests」など、大型国際ビエンナーレにキュレーターとして参画。美術館や行政機関等から委嘱を受け、他のアーティストと協働して作品制作も行い、国内外の展覧会に作品も出品。第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館作家推薦委員(2023)、文化庁「日本文化のグローバル展開の推進に資する「新たな価値」の発信に係る準備事業」国際ラウンドテーブル招聘キュレーター(2024-)、東京藝術大学DOORゲスト講師 (2023-)、東京藝術大学平山郁夫文化芸術賞受賞(2018)。
- 選択科目
- ARTs×SDGsプラクティス
2025
7/1
ARTs×SDGsプラクティス③講義2新しい環境観をめぐる現代アートと美術館 ─ 「サステナビリティ」が抱える矛盾を超えて
講師:
黒沢聖覇(PAN沖縄準備室キュレーター)

昨今、多くの美術関係者は環境問題に取り組む責任について考え、持続可能な実践を推進する必要があると考えています。2022年には、ICOM(国際博物館会議)が 博物館の新定義をおよそ半世紀ぶりに大幅改正し、特に「包摂的 (inclusive)」、「多様性(diversity)」、「持続可能性(sustainability)」といったキーワードが追加されました。一方、この改正と時を同じくして、環境保護活動団体によって、ゴッホやモネといった数々の名作を攻撃することで、 化石燃料を扱うプロジェクトの中止を求める抗議活動等も発生しました。この講義では、サステナビリティや新しい環境観を問う芸術作品や美術館の取り組み、講師自身のこれまでの実践など様々な現代アートの事例を紹介しつつ、芸術を通してSDGsやサステナビリティと向き合うことの困難や矛盾も考えてみようと思います。「アートか命か 、どちらのほうに価値があるのか」という問いが具体的な現実のアクションをともなって議論される今日にあって、私たちは芸術という枠組みによって、どのような持続可能な未来を創造できるのか、皆さんと一緒に考える機会にできればと思います。
講師プロフィール

PAN沖縄準備室キュレーター