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2025
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ARTs×SDGsプラクティス②講義1

講師: 土井達也(信州大学アドミニストレーション本部 准教授(URA))
SDGsは2015年に国連が2030年までに達成すべきゴールを定めたものである。一方、SDGsの多くのゴールの達成が危機的な状況となっている。本講義では、信州大学が推進するSDGs6(安全な水とトイレを世界中に)の事例を元に、SDGsの達成を促進する技術と芸術の相補的関係について議論する。信州大学では、水をきれいにする結晶材料「信大クリスタル」を基軸に、世界や地域をフィールドとして、水に関する行動変容を推進している。アフリカ・タンザニアでは水に高濃度に含まれるフッ素による健康被害等がみられる。この地に、フッ素を除去する信大クリスタルを搭載した浄水装置を設置し、現地の水課題解決を実証した。長野県では、信大クリスタルを搭載したマイボトル専用アクア・スポット「swee」を49箇所に展開し、ペットボトル水の利用と比較して約100トンのCO2の削減に貢献した。また、地域の酒蔵・ブリュワリー・おやき工場・カフェ・レストランなどに、「信大クリスタル」の浄水システムを導入し、その地の水に含まれるミネラル成分を活かした商品開発等を促進した。
これらの事例を通じて、技術はできないことをできるようにするチカラ、芸術は見えないものを実体化するチカラがあるとして、この2つの相補的な活用がSDGsを達成するために重要であることを論じた。

講師プロフィール

信州大学アドミニストレーション本部 准教授(URA)

土井達也

千葉大学大学院融合科学研究科博士後期課程修了 博士(工学)。2012年に信州大学・助
教として着任、大型の産学連携拠点形成プログラムの形成や研究所運営に従事。2018年よ
り無機結晶材料「信大クリスタル」の事業化を実施するプロジェクトの副事業プロデュー
サに就任し、「信大クリスタル」を用いた浄水器・日本酒・クラフトビールなどの事業化
に関与。2025年には、EXPO2025大阪・関西万博の文科省パビリオンにおける信州大学出
展の代表者としてプレイベントに出展。現在、信州大学が形成する世界レベルの水・水素
の研究拠点である「アクア・リジェネレーション機構」に参画し、世界レベルの『水』研
究拠点形成に寄与。