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2024
11/5

ARTs×SDGsプラクティス⑦/振り返り+最終課題について

講師: 伊藤 達矢(東京藝術大学 教授)/田中 一平(東京藝術大学 特任講師)
これまで約半年間に渡ってゲスト講師による講義を行ってきましたが、今回はこれまでの講義の振り返りを行いました。

始めに、伊藤先生から「コルブの経験学習サイクル」のお話をもとに、効果的な学習のサイクルと振り返りの意義についてお話しいただきました。

人が何かを経験する上では四つの段階(具体的体験・活動的実績・抽象的概念化・反省的観察)を踏まないと身のある経験にはならないといいます。
まず、具体的な体験をすることで、活動の実績が生まれます。ここで、具体的体験と活動的実績の往復しかしていない場合、様々な学びに繋がりません。体験したことを汎用性のある学びにするには、活動したことをメタ的に捉え、経験から抽象的な概念を抽出する、抽象的概念化が必要となります。
抽象的概念化を一人で行うことは難しく、活動の実績から自分たちが学んだことは一体何だったのか、どんな汎用性があるのか、自分の生活や体験に紐付け直して考え直す機会が必要です。これがリフレクション(振り返り)だといいます。
もう一つ先に進むと、反省的観察が生まれてきます。「ということは、私たちの生活に紐付くあのことに関係があるかもしれない・あのことに対するアプローチを更新しなければいけない」というような反省的な観察に伴い、具体的経験をブラッシュアップしていくという循環が機能していくことで、体験したことが自分たちの生活を豊かにしたり、他の分野などへの興味に繋がっていくといいます。

今回は、ブレイクアウトルームで受講生同士意見を交わしながら、各回の講義内容が自分たちの生活にどのように紐づき、具体的に経験に生かせるものは何なのかという循環を回していく、抽象的概念化にあたる部分にトライしてほしいと伊藤先生は話されました。

次に田中先生より、各講義回の振り返りを行っていただきました。講義のテーマやキーワードをお話しいただき、各回の内容を思い出していきました。

最後に、ブレイクアウトルームに分かれての振り返りを受講生同士で行い、ブレイクアウトルーム内で出た振り返りの共有を全体で行いました。

「講義を受けたことで交通の移動手段やゴミの分別など、仕事やプライベートでの自分の中の意識が変わった」「毎回の講義の課題に向き合ったことで、自分の中で大きな変化があった」「具体的経験と活動実績に注目してしまい、抽象的概念化についてはなかなかできていなかった、という話をした」「課題制作でお題について考えていく過程が面白く、抽象的概念化に繋がった」などの感想が出ました。
講義を受けたことや課題に取り組む中で、自身の意識や行動に変化があったようです。

次回はいよいよ最終回の授業となり、最終課題の制作発表を行います。



講師プロフィール

東京藝術大学 教授

伊藤 達矢

東京都美術館×東京藝術大学「とびらプロジェクト」や、「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点」の企画運営など、多くの事業を手掛ける。

東京藝術大学 特任講師

田中 一平

東京藝術大学美術学部 先端芸術表現科卒業。同科修士課程修了。
2011年より同科教育研究助手・助教を経て、2018年度より、本プロジェクトに就任。青森県八戸市「八戸工場大学」(2013年)、栃木県益子市「土祭2014」などのアートプロジェクトに参加。廃材をリユースし家具製作をする「ProjectRECON」の立上げや、金属などを用い作品の制作を行なっている。