1986年、京都生まれ。母が、絵画活動で注目された社会福祉法人松花苑みずのきの施設長に就任したことに伴い、12歳より休日をみずのきで過ごす。2007年以降の同法人主催のアートプロジェクトや、農園活動にボランティアで従事した後、2012年、みずのき美術館の立ち上げに携わり、以降企画運営を担う。2万点を越える所蔵作品のアーカイブ、アール・ブリュットの考察、社会的支援を必要とする人たちとのアートプロジェクトなど、企画は多岐に渡る。アーツカウンシル東京「TURN」コーディネーター(2015-2018)、東京藝術大学特任研究員(2018)を経て、2019年より、HAPSの「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業」に参画し、2020年、相談事業「Social Work / Art Conference」ディレクターに就任。
京都市芸術新人賞受賞(2024)。文化力による未来づくり審議会委員(京都府)、京都文化芸術都市創生審議会委員(京都市)。
- 選択科目
- ケア×ソーシャリー・エンゲイジド・アート実践論
ケア × ソーシャリー・エンゲイジド・アート実践論⑤ダンスを通してコミュニティのプラットフォームを作る~イタリア・バッサーノDance Wellの事例から~
◾️講義概要
Dance Well(ダンスウェル)は、イタリア・バッサーノで始まった、パーキンソン病患者とともにつくるダンスクリエイションで、オペラ・エステートというパフォーミングアーツ・フェスティバルの一環で通年プログラムとして行われている。さまざまな文化施設や自然環境の中で創造的なプログラムが展開されているDance Wellで、ダンサーの酒井直之が2023年から2024年にかけて一年に及ぶ研修を受けた。治療ではなく芸術実践であるというDance Wellの特徴、「ダンスウェルダンサー」と呼ばれる参加者らとのインタラクション、講師の育成や運営について話題提供を受けながら、日本での展開可能性などについて考える。
講師プロフィール
奥山理子
酒井直之
ダンサー・映像作家。東京藝術大学大学院修了。文化庁「新進芸術家海外研修制度」研修員として渡伊。
パーキンソン病と共に生きる人々との芸術活動「Dance Well」講師。国内を始め、欧州、中東、アジア諸国での舞台公演に多数出演の他、森七菜のMV等のメディア出演、振付提供を行う。春日部市を拠点に芸術によるまちづくり活動を展開。
Dance Well とは
ダンス・ウェルは、パーキンソン病と共に生きる方々を含む子どもから大人まで、年齢や経験に関わらずどなたにも開かれたダンス活動です。イタリアのバッサーノ・デル・グラッパ市CSC現代演劇センターの主宰により、2013年から実施されています。
ダンス・ウェルの大きな特徴は、リハビリやダンスの技術習得を目的とするのではなく、芸術活動として実施していることです。アート作品が設置されている美術博物館の敷地やアートギャラリー、季節を感じられる屋外など、感性が刺激される環境で開催します。参加者の身体や心を解放して生まれる個性的な表現や多様な価値観を認め合うことを、芸術的なアプローチから試みます。