
①DOORを受講しようと思った理由を教えてください
図書館で出会ったDOORの書籍「ケアとアートの教室」を通じて、「ケア×アート」というアプローチに可能性を感じたことが、受講のきっかけです。
私は消防吏員として働く中で、災害に対する脆弱性が高い方々が亡くなっているという事実と、必要な人に適切なケアが行き届いていないという課題に日々向き合っています。既存の社会システムは、一つひとつはしっかりしていても、横や斜めの繋がりが薄いことで、こぼれ落ちてしまうものがあると考えており、人口減少社会の進展に合わせて、アジャストしていく必要性を感じています。どうしたら平時からケアを必要とする多様な方々と、ともに歩む社会システムを構築できるのか。特別な何かではなく、人と人が織りなす何気ない日常のやりとりこそが、命を救うのではないか。そんな悩みの中で出会ったのが、DOORでした。
実際に受講してみて、主にアートや社会福祉分野で様々なチャレンジをしている方々の講義を聞き対話する、双方向のプログラムを通じて、自分の世界を広げることができました。その中でも、とくに「文化的処方」の考えに可能性を感じました。アートや文化を通じた取り組みを地域の内外で行うことで、従来の社会システムに横や斜めの串を刺し、社会課題をブレイクスルーできるのではないかと期待しています。私もDOORで得た知見や出会いを生かして、これから地域防災のフィールドで実践し、減災に繋げて行きたいと考えています。
②印象に残っている講義や実習について教えてください
ケア原論で出会った、馬場拓也さん(社会福祉法人 愛川舜寿会 理事長)の講義が印象に残っています。馬場さんは、住民の憩いの場だった地域のショッピングセンターの廃業に際して、地元の社会福祉法人として何かできないかと、寄り合い機能とイベントを通じて、人を繋げる取り組みとして、「春日台センターセンター」の事業をはじめました。この取り組みを通じて、介護・保育・医療の壁を取り払って横串を刺していくことが必要だと語っておられました。また、「子育て支援センターは子育て支援される人しかいない」というシングルマザーの方の言葉。認知症のおばあちゃんが、「あんたは毎日立派に育ててえらい」と言ってくれることに涙するそのお母さん。このおばあちゃんが果たしている社会的役割の尊さ・重要性を指摘していました。馬場さんが提唱する、Care in Community(コミュニティの中でケアする時代)からCare for Community(コミュニティのためのケアの時代)へという考えが、日本の将来に繋がるものであるという感想を抱きました。
この他にも、DOORの多彩な講師陣、多様で魅力溢れる受講生の仲間や伴走してくださる温かいDOORスタッフの皆さんの言葉に触れることで、これまでモヤモヤと何となく感じていたことが言語化され、ハッキリと自分の身になっていく感覚を何度も味わいました。これはまさに「そこにあるのに見えていないものを見えるようにする」という、アートそのものであると思いました。

ケア×ソーシャリー・エンゲイジド・アート実践論での課題発表の様子
③仕事や生活とDOORプロジェクトの両立について聞かせてください
両立のために意識したことは、頑張り過ぎないようにすることです。社会人はただでさえ、仕事と家庭の両立で手一杯です。私はオンラインのみでの受講だったので、日々の生活でなるべくラクをするために、講義時間内で完結するように心掛けました。具体的には、講義を聞きながら、同時にPCで講義メモ兼感想を書きつつ、講義中に紹介されたSNS、Webページや書籍の情報はスマホに転送して、後ほど空き時間にチェックしたり、その場で地元図書館のオンライン予約サービスで本を取り寄せたりしました(DOORでは、講義を通じて、たくさんの本や面白い情報に出会うことができます!)。
講義メモのおかげで、授業の感想シート(任意提出)やレポート課題も短時間で無理なく作成することができました。また、ただ講義を聞くだけではなく、文章としてアウトプットすることで、頭の中が整理される感覚を覚えました。DOORの時間は、日々のストレスでカチコチになった頭と心が「耕される」、とても良い気分転換になりました。
私は家族の理解と協力のおかげで、1年間無事受講することができました。受講を迷っている方にお伝えしたいことは、カリキュラムをチェックしてみて、オンラインで受講可能であれば、ぜひ一歩踏み出して、トライしてみてほしいと言うことです。もちろんそれぞれのご事情はあるかとは思いますが、迷ったら申し込んだ方が良いです(笑)

