山本慎一さん(9期生)
編集者/2025年度受講/東京都在住
広い視野からアートやケアについて考えることができる

DOORを受講しようと思った理由を教えてください

 私は出版社に勤務していて若者を読者対象とする新書シリーズの編集に長く携わっています。そのなかで、いま、多くの若者たちが貧困や孤独などの問題に直面し、人間関係に悩み、将来への不安を持っていることを感じています。また個人的に児童養護施設出身者や里親家庭で育った子どものケアにも関心があり、生きづらさを抱える彼らにどのように寄り添っていけばいいのかを考えることが多くあります。

 そんな折、たまたまSNSでDOORを知りました。「ケアとアート」と聞いて、はじめは具体的なイメージが湧きませんでしたが、なにか面白そうな予感がしました。DOORのサイトをくわしく見ると、講師にはさまざまな社会課題と向き合っている当事者やその現場でアクションを起こしている方々がいて、「アート」と言っても美術館の絵画を鑑賞するというようなイメージではなく、参加型のアートプロジェクトの実践の様子なども紹介されていました。私自身はアートにくわしいわけではなく、また福祉の専門的な知識があるわけでもありませんが、なんらかの形で困難を抱える人々のケアに関わっていきたいと思っていたので、広い視野からアートやケアについて考えることができるDOORをぜひ受講したいと感じました。

 

印象に残っている講義や実習について教えてください

 選択科目の「ケア×ソーシャリー・エンゲイジド・アート実践論」がとても刺激的で面白いです。講師は京都の「みずのき美術館」キュレーターの奥山理子先生。ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)とは、社会課題に向き合い、よりよい社会を目指すアート活動です。この授業はSEAに関する知識を学ぶというよりも、奥山先生が関わっている具体的なプロジェクト(画材循環プロジェクトなど)やゲスト講師の方々が実践しているアート活動のお話を聞きながら、アートやケアの可能性について考えるものです。「こんな面白い活動をしている人がいるんだ!」と驚いたり、「果たしてこれはアートと言えるのか?」と悩んだり、「自分もこういうことをやってみたい!」と妄想が膨らんだり、毎回、未知の世界に引き込まれて楽しんでいます。

 「ダイバーシティ実践論」と「ケア原論」もどれも興味深いです。多様なバックグラウンドをもつ受講生との意見交換を通して多くの「学び」や「気づき」もあります。過去の授業もアーカイブで観ることができるため、自分の興味関心がどんどん広がるのを感じています。

 

仕事や生活とDOORプロジェクトの両立について聞かせてください

 勤務時間後にスタートするオンラインの授業が多いため、日常の仕事に大きな支障をきたすことなく受講しています。休日にはアーカイブの講義を聞くようにしています。おもに週末に開講される対面の授業にはあまり参加できていませんが、受講生仲間と情報交換して、参加できなかった授業の様子を聞いたりしています。講師の方々や受講生たちから各地で開催されているアートイベントの情報を得ることも多く、いろいろなアートイベントに足を運ぶようになりました。

 いままで当たり前のように見ていた日常の景色が、ケアとアートという視点で見ると違った世界に見えてきて、毎日の生活が刺激に満ちています。仕事で書籍の企画を立てるうえでもたくさんのヒントをもらっています。

 

ドキュメンタリー映像演習の学外上映会に参加