村上麻子さん(9期生)
編集者・元出版社勤務 / 2025年度受講 / 東京都在住
期待以上にその先はもっと深くて青い

①DOORを受講しようと思った理由を教えてください

   長年の出版社勤務を退いた後、今までの生業に替えてこの先どう生きていくか、何を選んでいくかを考える中で、自分に足りなかった、やりたいのに出来てこなかったいくつかのキーワード、例えば「アート」「深い学び」「体験」「社会への貢献」「自らの手で作る」などの組み合わせ、共通集合を探るうちに、DOORと出会いました。在職中は主にファッション誌、ライフスタイル誌と呼ばれる雑誌編集に携わってきたのでアートもケアも、興味こそあれ専門的に学んだことはありませんでしたが、何をすれば、どうすれば、より多くの人に伝わるのか?には常に心を砕いてきました。 

   DOORとは一体何なのか、を知る上で、大きな助けとなったのはHP上で紹介されていた書籍「ケアとアートの教室」です。アートとケアがどう結びつくのか、アートでどんなケアができるのか、この本を読むことでその輪郭がおぼろげに見えてきました。

   今までしてこなかったことをしようと考えていましたが、仕事の中で自分が培ってきたことも実は繋がっているのだということ、同時にぶつかってきた壁に対する答えがここにあるかもしれないこと、そして、それらを超えたところに新しい扉が開くのかもしれない、という、何だか楽しい予感、暗くはない道筋が見える気がしました。実際講義を受け終わろうとしている今言えるのは、期待以上にその先はもっと深くて青い、です。 

 

② 印象に残っている講義や実習について教えてください

   必修科目である「ダイバーシティ実践論」「ケア原論」の多彩なゲスト講師の方々のお話は、どれもまさに衝撃的とも言える学びと気付きの連続でした。特に社会福祉法人福祉楽団理事長・飯田大輔さんの前期後期計6コマの講義では、「介護は科学であり、情緒的な言葉だけで語られるものではない」「介護において一番大切なのは観察」という視座のもとの理論から実践までを、ユーモアを感じさせる優しい口調で、しかし厳しく強く語ってくださり、印象に残っています。 

   ALS当事者の方のコミュニケーションの取り方や、手話という言語の持つ美しさを知り、津久井やまゆり園の事件直後に自らが運営する特別養護老人ホームの壁を破壊して「福祉を地域にひらく」活動をされている馬場拓也さんのお話、ドキュメンタリー映画「どうすればよかったか」監督藤野知明さんの体験、マンガ「ぼけ日和」を描いたカラテカ矢部太郎さんの登場、「こうのとりのゆりかご」で最初にあずけられた宮津航一さんの告白などを通して、予想もしなかったいろいろな方向から「ケアとアート」の密接な関係が解き明かされていくような、そんな体験ができた気がしています。

   そして、選択科目の「ドキュメンタリー映像演習」は、もっとも時間を費やした学びでした。「映像」の持つ「伝える力」をもっと知りたい、と思っての選択でしたが、今後はまた新たな眼を持って映像作品と向き合えそうな気がしています。 

 

ドキュメンタリー映像演習 学外上映会でのトークの様子

 

③ 仕事や生活とDOORプロジェクトの両立について聞かせてください

   勤務や学業のある方でも出席しやすい曜日、時間帯の講義がほとんどだったと思います。オンラインでも質疑応答の時間が必ずあるので、遠方の方の質問や意見をリアルに聞くことができて、親近感が湧くとともに、刺激になりました。 

    講義自体は週2日くらいでも、アーカイブ講座の受講、感想レポート、修了レポート提出、受講生間での情報交換など、学びはいくらでも増やせますし、逆に都合に合わせて調整することも可能です。 私は、毎回密度の濃い授業の内容のメモを取るのが精一杯だったため、感想レポートを書くために振り返りをして考える、のがとても有意義な時間となりました。