
① DOORを受講しようと思った理由を教えてください
学生時代に市民参加の演劇公演や公共の芸術祭に少し関わる機会をいただき、アートと福祉の関係にはずっと興味がありました。ただ、社会人になって仕事の忙しさを言い訳に業務外の「学び」や「社会」へ目が向けにくくなり、一方で分断や対立の話題が増え、応募当時はそのニュース自体にも、断片的にしか触れられない自身にも焦りを覚えていたように思います。そんな中で広告でDOORのことを知ったときは、この上ない機会だと思いました。
いざ小論文に取りかかり「ダイバーシティ」や受講目的についてよく考えるなかでより受講の気持ちは固まっていきました。「ダイバーシティ」という言葉には、前向きな希望だけでなく困難さへの恐れや諦めや憤り を感じることもあります。ただ、どんなに歯がゆくとも対話を続け参加してもらい、他者と共生し、それによって生まれるものを信じることが何よりの抵抗なのだとも思っていました。その可能性を最も柔軟に活発に引き出せるのは「アート」ではないかと改めて考え、社会と自身との接点を持ち直し、とても終わることのない対話にここから参加したいと思い受講を決めました。
② 印象に残っている講義や実習について教えてください
どの授業も学びや気づきが多く、伺えるお話も貴重で、何度でも受けたい講義ばかりでした。
特に挙げるとすれば、選択科目の『ケア×フィールドワーク実践演習』です。テーマごとにチームに分かれてフィールドワークを行い地域課題を発見し、それに対する処方を考えるという授業なのですが、実際にワークショップを実施したり作品を制作したりと「企画実行」とその報告までを行います。私たちのチームは活動団体の方にお力添えいただいて手ぬぐいづくりのワークショップを実施し、課題自体の多様さや「解決」の難しさ、それ以前に繋がりを保つことの重要さを実感しました。
アートというと、作品=成果としてそれ自体が目的やゴールに近いイメージがありましたが、ワークショップを通してお話ができたり、初めましてができたりと、課題解決の長い道のりの「入口」にとても近い位置でのアートの作用も学びました。年齢も背景も異なるメンバーで力を合わせ自身一人では飛び込みにくいことにも挑戦し、先生方の細やかなフォードバックや他チームに刺激を受けつつ、様々な知識や視点を持ち寄りながら一緒に考えて取り組めたことも貴重な経験でした。

ケア×フィールドワーク実践演習でのグループワークの様子

ケア×フィールドワーク実践演習 最終発表会にて
③ 仕事や生活とDOORプロジェクトの両立について聞かせてください
仕事との両立は大変な時もありましたが、いま受講できて本当に良かったと思っています。週1回の必修授業は通常の勤務時間にあたるので、早めの始業や授業後に少し業務にあたる等して調整し、どうしても出席できなかった週はアーカイブ動画で勉強しました。
選択科目については、オリエンテーションで平日稼働の有無のご案内がそれぞれあり、参加しやすい土日中心の授業を選択しました。それでも必修授業の欠席が続いたりチーム別の活動に参加ができなかったりと、「DOORを受講するのは自分には少し早かったかも。もう少し人生が落ち着いたころにすれば良かった…」と思うこともありました。ただ、受講しようと思った今が最善のタイミング!と他の受講生の方にも背中を押していただき、今の自分だからこそ学べる/感じる/考えることを大事に受講しました。
通常授業や選択科目に加え、上野キャンパスで特別講義を受けたり、講義での参考文献を手に取ってみたりと、この1年間を通して学びと興味の範囲が大きく広がりました。また、当初の漠然とした課題意識が、当事者の方や活動をされている方の声を実際に伺うことで、より重みや手触りをもって捉えられるようになり、DOORの後こそが本番と感じています。

