伊勢数磨さん(9期生)
会社員・フリーランス/2025年度受講/神奈川県在住 
福祉の可能性が私の頭の中で非常に広がりました

DOORを受講しようと思った理由を教えてください

 私は障がいや難病等で就労困難な方々の福祉就労のDXを推進するスタートアップで働いています。障がい者の皆さんが描くアートに触れる機会も多く刺激を受けて自分自身も十数年ぶりに作品を作り始めた頃、SNS広告でDOORの事を知りました。これこそ自分が学びたい事だ!と思い迷わず申し込みました。

 芸術家ヨーゼフ・ボイス氏の社会彫刻の考え方が好きで数年前に震災復興中の福島でアーティストの方と住民の方々と震災の記憶を記録するソーシャリー・エンゲイジド・アートを企画実施した経験もあって「文化的処方」という言葉にとても共鳴した事も理由の一つです。

 今回の受講前・受講中に、川崎市の障害や難病をお持ちの方が通う施設を訪問して共同作品づくりをしていたので、DOOR9期生として今後もこの活動は継続していきたいですし、DOORアルムナイ(修了生)の皆様とも何か一緒にできたらいいなと考えています。

 

印象に残っている講義や実習について教えてください

 講義についてはどれも刺激的だったのですが、社会福祉法人「福祉楽団」の飯田大輔理事長のケア原論での講義が印象に残っています。アートとケアなぜ親和性があるのか、飯田理事長の実践と思想に基づいたお話がとても新鮮かつ腹落ちしたのを覚えています。例えばナイチンゲールの「看護はひとつのアートである」という言葉を元に具体的な事例をお話しいただいた事にとても気づきが多かったです。何より飯田理事長の発想力と行動力に大変感服し、福祉の可能性が私の頭の中で非常に広がりました。授業中の質問で「飯田さんをそこまで突き動かす原動力は何ですか?」という問いに「世の中への怒りが原動力なんです」とおっしゃられていたのが印象的でした。

 実習については、選択授業の「ARTs×SDGsプラクティス」とDOOR特講の「Dance Well ワークショップ」が印象的に残っています。どちらも作品作りや即興ダンスで表現をみんなで行うのですが、作品自体のクオリティがどうこうという事ではなく、なにかを表現するという事で自分の内側の理解が深まったり、他者の理解がより深まったり、それらを通じてその場いる人達とのコミュニケーションが豊かになっていく、そんなアートの新しい側面を感じることができました。

 

DOOR特講「Dance Well」ワークショップの様子

DOOR特講「Dance Well」ワークショップ後の対話の時間

 

仕事や生活とDOORプロジェクトの両立について聞かせてください

 平日の仕事終わりにオンラインで参加できる気軽さもあって、自然な流れで生活の中に組み込めました。何より授業も面白くて刺激的だったので、毎週楽しみでした。

年に数回、休日にある特講も家族と予定調整すれば無理なく参加できましたし、全国から個性豊かなDOOR9期生が対面で集まって授業中も授業後も話せたのは本当にかけがえのない財産になりました。

 生活への影響として大きかったのは、選択授業のARTs×SDGsプラクティスの課題です。毎回授業ごとに講師の方々から「SDGsを表現してください。」のような難しいお題がでて、作品とコンセプトをつくって約1ヶ月後に発表するというものです。作品のコンセプトやアイデアを考える「生みの苦しみ」を1ヶ月間味わう事になり、生活の中でモンモンと考え込んだり、調べたり、作品づくりを試したり、失敗したりする時間がかなり増えました。1人で考えても煮詰まる事もあったので家族や友人に話したり、DOORの同期とLINEグループを作って情報交換したりしていました。最後の方は作品づくりのプロセスも楽しみながらできるようになり、アウトプットをする事で思考がより深くなり、とても良い学びの経験になりました。

 

ARTs×SDGsプラクティス 最終課題は、放課後デイ(福祉施設)の子どもたちとの共同制作。作品タイトル「Diversity」