泉 怜那さん(9期生)
作業療法士 / 2025年度受講 / 兵庫県在住
問いの答えをより探求したいと受講を決めました

① DOORを受講しようと思った理由を教えてください

  ”なぜ表現することに惹かれているのか” 

 この問いの答えが分からないまま、”こころ” と ”表現” することに強い関心があった私は、当事者と共にこころを動かしていく精神科の作業療法士として、病院やデイケアで勤めてきました。心躍る楽しい営みもあれば、言葉を発しようとしない当事者の横でひたすら沈黙に耐える日々、一緒に向き合った仲間の”死”・・それらは患者ー支援者の枠を越えた対話でした。この対話の下支えとなったのが ”芸術活動” だったのです。

 こころの奥深くに留まっているモノたちが、作品に溶け込み外側に出たとき、みる/みられながら、ふたたび当事者の内側へと戻っていく。この循環を通して、当事者たちの “まなざし” はゆっくり優しく自身に向けられていくのを体験しました。このプロセスこそが、私を当事者に向かわせる原動力となっていたのでしょう。表現することに惹かれている訳を、私はすでに了解済だと思い込んでいました。

 しかし、誰かの表現の場を支える体験はあっても、私自身が表現する側の体験を知り得ていないことに気づき始めた矢先、偶然DOORプロジェクトの存在を知りました。DOORに参加することで、他分野の方が見つめるアートの視点と出会い、表現する側の実体験を通して、問いの答えをより探求したいと受講を決めました。

 

印象に残っている講義や実習について教えてください

 印象に残っている講義は、まず選択科目ARTs × SDGsプラクティスです。毎月1回ゲスト講師から講義後にお題が出され、それに沿った作品制作のため、1ヶ月間自分自身と向き合います。内容は、海洋学、サステナビリティ、フェアトレード、ジェンダーなど様々で、実は社会に影響された価値観が相手を理解する上で支障になっていたり、いかに自分が見て見ぬふりをし、想像することを忘れているのかに気づくことができました。また作品発表の時間は、一つのお題で生まれたとは到底思えない、視点も表現方法も全く異なる作品の数々に、私の中のささやかな世界は毎回良い意味で壊され、再構築されるような感覚になるものでした。担当の先生方からの美術的表現方法のレクチャーや、展覧会のご紹介も貴重な情報源となり、非常に興味深かったです。

 次にDOOR特講クロッキーです。テーマは ”観察力”。関節の角度、重力、筋肉の緊張感、視線、纏う服・・から、その人たらしめる何かにできる限り近づいてみる。ひたすら、数分間刻みで何人もの人を描いていきます。対面のリアルさも相まり、ひとつのことをじっくり派の私にとっては、とても新鮮で発見的な学びの場でした。

 

「ARTs × SDGsプラクティス」での作品

 

仕事や生活とDOORプロジェクトの両立について聞かせてください

仕事や生活とDOORプロジェクトの両立に関しては、平日におこなわれる講義が中心だったため、仕事場を退勤時間すぐに出発する必要がありましたが、幸いにも定時に上がれる職場環境だったため、支障なく講義を受けることができました。ただDOOR特講に参加するためには、体力・時間・費用など常に自分との相談でしたが、人生プランのタイミングで退職を決め、DOORに専念する形をとったため、1年の後半はDOOR特講にも力を注ぐことができました。

 

DOOR特講「ストーリーテリング」授業風景