高井昌弘さん(8期生)
ソーシャルワーカー/2024年度受講/静岡県在住
これからの道筋を照らしてもらえたように感じています


 

DOORを受講しようと思った理由

大学で彫刻を専攻し、卒業後にソーシャルワーカーへ転身して30年余り、重い知的障がい・発達障がいのある方のサポートをしてきました。

最重度とされる障がい者のアート活動支援やワークショップを開催する中、彼らの強烈な個性と感性で表現される作品を目の前に、自分ができなかったことへの憧れと、アート活動に携わることで変化する支援者の様子もみてきました。そんなとき、職場の回覧書類に掲載されたDOORプロジェクトの案内を目にしたのが、受講を決めたきっかけです。

「仕事をしながら講義に出られるだろうか?挫折しないだろうか?同じような思いを持った方々のコミュニティに入っていけるだろうか?」そんな不安ばかりがありましたが、「歳を重ねた今だから!」「今一度学びなおしたい分野だから!」という気持ちと、福祉現場や福祉を必要とされる方々、何より、僕自身をアートが思ってもみない方向へ運んでくれるような期待がモチベーションになったように思います。

 

印象に残っている講義や実習

どの講義からも多くの気づきをいただきました。

特に、選択科目として受講した「ケア×ソーシャリー・エンゲイジド・アート実践論」では、奥山理子先生のプレゼンテーションで、毎回、様々な取り組みをされる方々の実践紹介をいただき、アートを介して社会をよりよく変えていく過程を学ばせていただきました。講義を受ける毎、日比野学長のメッセージにあった「個人としての芸術とは何なのだろうか?社会としての芸術とは何なのだろうか?」という言葉を思い返し、自問し続けた事を思い返します。

アートプロジェクトを立案する実践プログラムで大切にしたかった「社会としての芸術」を考える中、個人的な制作活動の継続からドロップアウトした体験と、これまでに積み上げた経験を「社会としての芸術」に変えられるかもしれない!と、課題に取り組むきっかけと時間を持てた事が何よりの収穫かもしれません。

僕自身に社会を変えていくほどの力はなくても、「社会としての芸術」という視点や実践で、身近な誰かの秘めた力を引き出せたらいいな・・・と思っています。

 

仕事、生活、学業とDOORとの両立について

仕事との両立ができるのか・・・不安もありましたが、何より周りの仲間の応援が力になりました。

業務を早々に切り上げ、会議室から仕事の延長でオンライン講義へ突入させていただくなど、「アートってわからないけど、新しい価値観で、障がいのある方の力を引き出したり、支援者に気づき与えることができるなら、福祉現場にフィードバックしてほしい!」とか「アート分野の方々が、なぜ福祉に興味を持っているのか知りたい!」とDOOR プロジェクトに共感してくれる仲間が背中を押してくれた感じです!

また、上野キャンパスでの講義や演習は多くの受講者の皆さんと知り合えたことに加え、若き日に目標としながら、とどかなかった憧れの大学ですごす時間でもありました。校門をくぐった瞬間、長い時を超えてやっとたどり着いた懐かしい想いでいっぱいになったことを思い返します。

社会人になってからのこれまでと、その経験をこれからに活かすためのハブのようにDOORプロジェクトを考えていましたが、思い切って受講したことで、これからの道筋を照らしてもらえたように感じています。