① DOORを受講しようと思った理由
私は都内の化学メーカーで会社員として働いています。最近自分の会社がアートを冠する社名に変わった事もあり、「ビジネスよりもアートだ!」ともともと興味があったアートを学んでみようと通信制の芸術大学を物色していたところDOORを知りました。
私は家族と一緒に6年ほど祖母を在宅介護しており、その中でケアワーカーの方々にたくさんお世話になりました。皆さん笑顔で祖母に接してくださり、私たち家族は心に余裕をもって祖母と過ごすことが出来ています。家族の介護はキツイものというイメージを持っていましたが、おかげさまで比較的明るい介護ライフを送っています。そんな原体験とたまたま興味を持ったアートがDOORのコンセプトそのものだったので応募を決めました。
また、大人になってからの学びは人とのつながりも大事だと思いました。その点、DOORはオンラインの授業を中心に据えつつ、東京藝大での対面授業もあり、通信制のプログラムでは得られない魅力がありました。実際、対面の授業だけでなくオンラインの授業でも、いろんな方とお話しする(対話する)環境があり、よい刺激をたくさん受けています。毎週月曜日の必修授業では、講義の後に参加している受講生から感想や質問を講師の先生に投げかける時間が30分ほど設けられており、皆さんの考えを知る良い時間となっています。
② 印象に残っている講義や実習
何といっても「ドキュメンタリー映像演習」です。
祖母の在宅介護をきっかけに祖母と家族の日常をiPhoneで撮影編集して思い出に残しはじめました。5年前、93歳の誕生日に撮影したインタビュー動画で「98歳まで生きたら丁度いい塩梅だべ」と語っていた祖母も97歳になり、さてさてどうなるか!?というのが家族の目下の関心事だったりします。祖母自身も、今はあまり分からなくなってしまいましたが、数年前までは私の動画を喜んで見てくれて家族との日常を振り返っていました。そんな原体験があり、動画に興味を持っていたのでDOORで開講しているドキュメンタリー映像もまた、ドはまりでした。
今年のテーマは「お寺」でした。東京藝大の近所、いわゆる谷根千エリアには大小合わせて300近くものお寺があるそうです。本実習では6人5チームで各々お寺に取材に行き、私たちが感じたことをドキュメンタリーという形で表現しました。
授業では、取材方針を決め、お寺の方と日程調整、取材当日は取材内容だけでなく機材の設定も同時並行で意識し、撮影したものを編集するという流れで、本格的なドキュメンタリー制作です。
DOORの中でもちょっと実践的な授業のようですが、ドキュメンタリーもいわば表現の手段であり、自分(たち)が感じ取ったものを誰かに伝える、そういう体験、学びがあるように思います。
③ 仕事、生活、学業とDOORとの両立について
DOORの授業は必修科目のダイバーシティ実践論(もしくはケア原論)が月曜日18時20分から90分、都内で会社員として働いており会社の会議室を借りて授業に参加していました。上司や同僚の理解もあり、7~8割は出席できたかと思います。どうしても出席できないタイミングもありましたが、後日記録映像を共有いただけるので取りこぼしなく受講することが出来ました。DOORの必修授業は第一線で活動されている方の実践例を知ることで「気づきを得る」ことができます。これはリアルタイムでもオンデマンドでも効果は変わらないなという実感がありました。
選択科目の「ドキュメンタリー映像演習」は土日の授業でした。私は土日休みなので比較的参加しやすかったです。授業時間外でお寺の取材に行きましたが、大変と思うか楽しいと思うかは個人の興味によるかもしれません。9月からの約4か月で5回ほど取材させていただきましたが、非常に刺激的で楽しい時間でした。私の場合、取材に行けるのは必然的に土日になってしまうのですが、学生さんが授業やバイトの間をぬって平日朝に、お寺の朝のお勤めの撮影に行ってくれたりと、チームワークで乗り切ることができました。