すけさん(7期生)
2023年度受講/東京都在住
「関心があれば、自ずと見えてくる」

撮影:白珠ケケ

 

①DOORプロジェクトへ参加した(知った)きっかけ

数年前、仕事上の環境変化をきっかけに自分のメンタル面を見つめなおすため、「アートセラピー」という心理療法を学びました。描いたり、切ったり貼ったり、対話したり。。。美的センスゼロ、「活字と数字」に生きてきた自分にはとても新鮮な学びでした。なにより、スタッフ・メンバーのみなさんが温かく、自信が少しずつ回復しました。

それからはさまざまな方向に目が向くようになり、経営心理学、ワークショップデザイナー育成プログラムといった学びや、本とまちのコミュニティ」にも参加するようになりました。

 

こうして気ままに動く中で、アートセラピー講座スタッフの方が勤務されている生活介護事業所を訪ねました。この施設にはカフェが併設されていて、障がい者の方が創作活動やカフェのスタッフをされています。施設の雰囲気や障がい者の方とのやりとりを通じて、ありのままの自分でいられることに気づきました。自分もこんな風にみんなが等身大でいられる場づくりをしたいと思い、福祉にも関心を持つようになりました。

 

そのとき、『ケアとアートの教室』を通じて「DOOR」が視界に入りました。

アートとケア(福祉)両面から学べる環境に運命的な出会いを感じました。

修了生の中にアートセラピー講座の先輩がいらっしゃることもわかりました。

「もうこれしかない!!」と思ったのが2022年の夏。

2023年、満を持してDOORの門戸を叩きました。

 

②印象に残っている講義や実習

どの講座も思い出深いです。

必修の「ダイバーシティ実践論」では人の歩みの豊かさを、同じく「ケア原論」では現場の人々と向き合う誇りと覚悟を感じました。選択科目の「アートプロジェクト実践論」「人間形成学総論」には、人と対話する大切さが根底にありました。特講「ワークショップ ブレインストーミング」「ワークショップメイキング」では、人と楽しむノウハウを学べました。

 

もう1つの選択科目「ケア実践場面分析演習」は、チームによる学びです。子どもたちをケアする現場の体験を通じて見えてくる課題に向き合います。自分たちは児童養護施設で、子どもたちとの交流やバザー参加を通じ、子どもたちをありのまま肯定し、地域とのつながりを育むべく活動しました。成果は道半ばでモヤモヤも残りましたが、キャッチボールでストライクを投げたときの弾けるような笑顔、お面づくりに夢中になる姿、実習を収録した動画でスクリーンの中の自分を誇らしげに見つめる表情。。。そんなキラキラした子どもたちを引き出せたことは、かけがえのない経験です。

 

こうして活動を通じて思うのは、「関心があれば、自ずと見えてくる」ということです。最近、自宅近隣に児童養護施設があることを知りました。DOORで学んだからこそわかったことです。また、DOORはモヤモヤを含めて「次」への刺激も与えてくれます。ケアとアートを探求する「種」を生み出す場所がDOORなんだと思います。

 

③仕事/生活/学業とDOORプロジェクトの両立について

DOORの講座はオンラインとリアル、平日と休日のバランスが適度でスケジュールも気分の乗り方も程よく調整できました。仕事面で在宅勤務を活用できていたのも大きかったです。

 

たとえば、必修講座は月曜のオンラインでしたので、月曜は在宅勤務にしました。一方で、「ケア実践場面分析演習」など、チームワークや実習の必要な選択科目は対面での学びです。この年齢になって藝大に通学できる感慨はひとしお。四季折々の上野へ行くのが楽しみでした! (。。。と偉そうに書きましたが、最近まで上野といえば動物園しか視界になかったことの反省を込めて記しておきます _(._.)_) また、児童養護施設への訪問は休日が主でしたが、素敵なロケーションでしたし、電車好きなわたしは道中も楽しく過ごすことができました。

 

また今期は、「本とまちのコミュニティ」や小学校の「おやじの会」の活動と重なり休日もタイトな時期がありましたが、自ら望んだ道でしたし家族の理解もあり、苦しさを感じることはなく、むしろ気分を切り替えて活動できました。

 

最後に、先生方やスタッフの方々、実習先施設の方々と子どもたち、受講生の方々、そしてチームメンバー。。。社会人になってこんな豊かな人間関係でつながれる機会はめったにありません。この場こそが多様性、アートとケアの実践の場、経験は関係なし! これだけでDOORを受講する価値はあります。仲間になりましょう!

 

*本とまちのコミュニティ
国立市にある、街の居場所「国立本店(ほんとまち編集室)」を活動拠点とし、「ほんとまち」に軸足を置き、本を通じて会話したり、まちとリンクした活動を行う活動体。
https://kunitachihonten.info/