中村幸雄さん(7期生)
(会社員<メーカー>/2023年度受講/東京都・岐阜県在住<2拠点居住>)
学びのサイクルを生活の一部にすることにしました

①DOORプロジェクトへ参加した(知った)きっかけ

 私は文化芸術で地域が元気になって欲しいと、長年岐阜県にある劇場の運営をサポートする市民ボランティアに参加していました。特に映画や音楽、演劇など鑑賞や体験の場を通じて人と人がつながることを大切にしてきた自分にとって、コロナ禍では、人と会うことができないつながりの分断があったり文化芸術は不要不急と言われたりもして、社会や自分にとって何が大切かをいろいろと考えさせられる3年間でした。孤独、孤立など複雑化する社会課題の大半は福祉課題だと思っていた時に、街の小さな本屋さんで見つけた本が「ケアとアートの教室」でした。藝大で福祉?と書かれたすごく気になる帯にまんまと自分のアンテナが反応して即買いでした(笑)。この本でDOORプロジェクトのことを知り、「文化芸術×福祉」で何ができるのかのヒントを探したくて参加することを決めました。

 

②印象に残っている講義や実習

 私が印象に残っている実習は、「プログラム実践演習」です。演習の今年度のテーマは「センサリールーム」で、東京藝術大学(DOOR)が日本サッカー協会(JFA)と協働して実施している「センサリールームプロジェクト」に参加することになりました。「センサーリー=感覚」だと思いますが、プロジェクト監修の学長から、「センサリーマップを作ろう」、「自分にとってのセンサリーを1/1で表現せよ!」など難解な指令が連発されます。自分にとっては何?で、未だかつてないくらいの全方位で五感や思考を働かせることになり、それはもう大変で、でも新鮮で心地よい数か月となりました(笑)。実習終盤の11月に美術展、12月にJFA主催の試合で、自分たちが「センサリー」を表現した制作を大勢の方々にみてもらう機会をつくっていただき、人生初の藝大生ぽい体験をすることができ最高に楽しかったです。「センサリー」を意識して居心地の良さは多様であることを、受講生同士で深堀して実践出来たことは、自分にとって社会のダイバーシティを考える上で大きな学びとなりました。
 

③仕事/生活/学業とDOORプロジェクトの両立について

 DOORへの参加は、自分が気になること、好きなことをやるのですが、仕事と生活と学業のどれも疎かにしたくないと考えました。ざっくりとですが年間の計画を立て、学びのサイクルを生活の一部にすることにしました。講義や実習は平日や週末で、リモートやeアーカイブラーニングでも時間数を取得できるので自分の時間を上手くやりくりすれば無理なく学べる環境だと思います。お時間が許すのなら、ぜひ上野校地での対面での講義や実習にも参加して欲しいです。リアルで同じ空間で、講師や同期の方々の表情を見ながら体温を感じながら語り合い同じ時間を過ごすことで、皆さんとの距離感がぐっと縮まった気がしていますから。

 東京藝術大学DOORというプラットフォームを介して更に多くの皆さんと出会えることを楽しみにしています。

(2023年12月 トークセッション収録より)