松本友哉さん(6期生)
(会社役員/2022年度受講/山形県在住)
週1~2回程度、数時間の濃厚な授業は私にとって適度な学びのサブスクリプションでした

①DOORプロジェクトへ参加した(知った)きっかけ
 当時通っていた大学院の同級生から話を聞いて、あまり迷うこともなく申し込みました。DOORで学ぶことにした理由は、芸術と福祉の関係性に可能性を感じたからです。地域において芸術がその場に潜む価値を具現化する過程で、そこに暮らす人々が「今ここにいる意味」を認識して自己肯定感を高めるかもしれないという点で福祉の側面があるのではないかと考えました。私は、山形県の小さな離島である飛島という場所で10年以上暮らしています。飛島は過疎化が顕著に進んでおり、このままでは近い将来に消滅してしまう地域です。人口減少社会において、地方が衰退していくことは受け止めなければならないことですが、その過程において地域の価値を継承し新しいかたちに変換していくことを日々考えています。その考えを深めつつ、具体的なプロジェクトをデザインしていくためにDOORの学びが有効だと考えました。



②印象に残っている講義や実習
 まず、必修科目である「ダイバーシティ実践論」と「ケア原論」は、毎回立場の違う多彩なゲストから現場にいなければ経験できない解像度の高いお話を伺えます。授業を受けるにつれて自分の世界を少しずつ広げることができます。また、夏季集中講義である「アートプロジェクト実践論」は、アートプロジェクトを体系的に学んだ上で、今後アートプロジェクトがどのような役割を果たしていくのか考察する機会を得ることができました。この授業によって、既存のアートプロジェクトを客観的に捉えて検証し、その価値に気づくことを経験したことで、今後私がプロジェクトをデザインしていくための足がかりを得られました。



③仕事/生活/学業とDOORプロジェクトの両立について
 週1~2回程度、数時間の濃厚な授業は私にとって適度な学びのサブスクリプションでした。また、離島に暮らしているためオンラインでほとんどの授業が受けられることは最大の利点でした。仕事は夏が繁忙期であるため、夏季集中講義のときはなかなか大変でしたが、授業と仕事の内容が思い掛けず結びつくことがあり、どちらも急速に進んでいくという体験をしました。このような授業内容の結びつきは、一見関連性のない講義でも経験しました。また、同期受講生のLINEグループで話題になっていた書籍を偶然近くにいた人から薦められたこともありました。講義や同級生の話題、日常生活や仕事などが少しずつ不思議な結びつきをしていくDOORプロジェクト。できることならこの学びのサブスクに延々とハマっていたいのですが、惜しみながら次の人たちにバトンタッチしたいと思います。

(2023年1月23日 公開講座トークセッションより)