横堀郁夫さん(8期生)
児童養育者(家庭養護・ファミリーホーム)、障害者高齢者福祉支援者/2024年度受講/群馬県在住
モヤモヤしてきた自分の気持ちの矛盾と決別するため

①DOORを受講しようと思った理由

私がDOORのことを知ったのは7〜8年前、その時はファミリーホーム養育者として委託を受けたこどもの養育の真っ最中でしたので動けませんでした。それから何年もこのことを忘れたままだった今年の2月、いつもの福祉新聞を見ていたら、なんとなく光る広告があった。それがDOORです。これが二度目の出会いでした。今度は、こどもがみな自立したあとだったのですぐに動けました。私はこどもの頃から自分の親の仕事の関係で福祉の生活の中で過ごし、独立しても自分の家で児童養育ですから、自分の生活がそのまま福祉の生活でした。それがちょうど一区切りついた時で、今まで育てたこどもたちのことを思い出しながら、自分の長かった福祉の生活を振り返る日々。これは今が転機だと思ったということと、私はもともと美術を学びたくて、高校卒業後は福祉分野からは離れて美術の学校に行ったのですが、困難を抱える人たちを目の前にして避けて通ることができず、その差し迫った状況の中に自分を置いてきたために、それ以来、美術やアートには集中できませんでした。そのためモヤモヤしてきた自分の気持ちの矛盾と決別するために受講しようと思ったというのが理由です。

 

②印象に残っている講義や実習 

これまでの講義は、多くが自分の知らない福祉の様子や実践で溢れています。多くの興味深い人や課題に出会いました。 ダイバーシティ実践論で話してくれた、山本昌子さん。社会的養護を受けて育った自身と近い境遇にある人たちの生きづらさを、自分たちの行動で助ける多彩な活動を展開していて、とてもアートでした。 それから「人間形成学総論」です。私の本業の社会的養護の分野でこどもを育てていると、常に自分のケアも必要になります。自分を見つめながらこどもたちに向き合うことで信頼を築き、親になっていく。人間形成学総論はその支えになる大事なことを考えさせてくれる講義でした。 選択科目の「ARTs×SDGsプラクティス」では、オンラインでありながらも感じる場の共有感、課題制作の作品を鑑賞し合うことによっていくつかの作品が共鳴したり、発想の違いに刺激を受ける楽しい空間でした。毎回違う専門家の話からSDGsを多角的に考える濃い時間を過ごし、とても有意義でした。石膏室での実習も共鳴力を強く感じました。こうして私の内面のモヤモヤは、DOORの講義を受けることによって徐々に変化しています。DOORでアートとケアあるいはSDGsを学びながら、それを見つめる自分との対話に入っていくという体験をしています。その体験から得た新たな発見によって、真の自分に近づきつつある、そんな実感を持って受講を続けています。

 

③仕事/生活/学業とDOORプロジェクトの両立について

今の生活はある程度の時間のサイクルで回していますが、基本的にはフリーなので両立に悩むことはなく、無理なくスケジュールを消化していて充実しています。ただ、自分の役割として野外での園芸作業などの日中活動もしていることから、酷暑の夏は疲労が溜まり、間で休んでから授業に臨んでいました。それでも講義の間隔は十分にとってありますから、仕事をしながらの社会人にとっても無理のない受講ができるのではないかと思います。そしてプログラム上のシステムもよく配慮して構成されていますので、どなたでも安心して取り組めると思っています。何か気になることがあっても、助手の皆さんが丁寧に対応してくれましたので講義に集中できました。ありがとうございました。