松本 多絵さん(4期生)
(小児科医/2020年度受講)
「そういうこと全然忘れてたな」っていうことに気がつきました

①DOORプロジェクトへ参加した(知った)きっかけ
大学で小児科の医者をしています。きっかけは、ヘラルボニーさんという会社が「芸大が本気出した」とDOORを紹介していたことです。ヘラルボニーは障害を敢えて特性と言い切ることで知的障害のある方の作品をプロダクトとして世に出している「福祉実験ユニット」です。そして、もう一つのきっかけは、昨年のDOOR公開講座を聞きに行ったことです。その時に日比野さんが登壇していて、中学生の時に日比野さんのラジオが好きで聞いていたのですが、その時と同じテンションで自由な雰囲気をまとったまま、藝大の教授でいるということがいいなと思いました。内容というよりは、その二つのことが参加する直接のきっかけだったと思います。

ダイバーシティに関してなんですけども、私には子供が2人いて、2人とも発達障害で、社会との軋轢がとても多かったりしました。また、職場の中では今でも男性社会なので、女性の立場がまだまだ弱いので、マイノリティであることとか、自分を隠したり殺したり演じてしまっている部分がたくさんあり、ダイバーシティやマイノリティという言葉に敏感になっていたと思います。

 

②印象に残っている講義や実習
「ダイバーシティ実践論」では、一人一人の先生の色々な言葉が直接響いてしまって、感情が揺さぶられてしまうことが多かったです。そういう意味で、とても印象的でした。日比野さんの「色彩学」では、「空のへりの色を描いてごらん」「目の裏の色を見てみよう」と絵を描く課題が出たのですが、普段の生活では エビデンスがどうとか、パーセンテージがどうとか、正しいのか間違っているのかとか、そんなことばかり求められるので、「そういうこと言っていいんだ!」っていうことがすごく解放的でした。「そういうこと全然忘れてたな」っていうことに気がつきました。

 

③仕事とDOORプロジェクトの両立について
オンラインだったことが今年は本当に幸いして、仕事がある日でも、オンラインで受講できることもありました。オンラインが多く、自分ひとりで考えている時間が長かったので、移動時間に考えて、実際作業する時間は集中するというやり方で両立できたかな、と考えています。むしろ、終了後、これからどうしていくか、ということを結構悩んでいます。

(2021年1月 DOOR公開講座トークセッションより)