加藤 イオさん(4期生)
(会社員/2020年度受講)
価値観の重なり、ズレや違和感を実感することでの学び

①DOORプロジェクトへ参加した(知った)きっかけ
約20年前に藝大の建築科を卒業しているのですが、当時の入学式のオリエンテーションは「この学校は天才を探す学校です。でも、天才はこの中に一人いるかいないかです。」という刺激的なメッセージから始まりました。高まるモチベーションと同時に、閉じた世界に来てしまったんだなぁと感じました。学生生活を通して敷居の高さや閉塞感を意識することはありませんでしたが、社会に開いているというイメージも弱かったように記憶しています。だからDOORを知った時に、自分の中の藝大のイメージとは重ならなかったので興味を抱き、藝大がアートを通して外と繋がろうとしていることを深く知りたいと思ったのがきっかけです。

 

②印象に残っている講義や実習
「プログラム実践演習」でアーティストと一緒に「TURN on the EARTH」の作品を制作した時のことです。アーティストと受講生全員で最終的な展示をどうするか考えたのですが、良いアイデアが出ない生みの苦しみの時間が続き、とうとう社会人受講生から

「先生(アーティスト)がどうしたいのかを教えてほしい。それを一緒につくりたい。」という主旨の発言がありました。この時、実は社会側もアーティストを高尚な存在や、自分たちとは別の存在として捉えているような境界があるのではないかと感じました。内側から開いていくだけではなく、外側からも藝大やアートに関する認識を変えていかなくてはならないのだと思います。アーティストと社会人が共同で作品をつくったり、同じ講義を受けることで価値観の重なりや、ズレや違和感を実感することで、お互いに多くの学びを得ることが出来るので、藝大生にも、もっとこの授業に参加してほしいと思います。
 

*TURN:障害の有無、世代、性、国籍、住環境などの属性や背景の違いを超えた多様な人々の出会い、表現を生み出すアートプロジェクト。「TURN on the EARTH」は、海外でTURNに参加したアーティストの展覧会で、DOORの受講生も作品制作に参加した。

 

③仕事とDOORプロジェクトの両立について
自宅からリモートで仕事をする機会が増えて、勉強をしている学生としての父親の姿と、仕事をしている父親の姿の両方を子どもに見せられたことが良かったです。