1990年生まれ。鎌倉市出身、現在は大阪在住。明治学院大学国際学部卒業。英国サセックス大学科学政策ユニット(SPRU)・持続可能な開発学修士課程修了。
大学卒業後、ドイツ系化学品メーカー(自動車・インフラ用潤滑油材)での広報、マーケティング、コーポレート・コミュニケーション業務を担当。ドイツ国費奨学金給付機関にて奨学金プログラムのコーディネート、国際シンポジウムの企画・運営・広報業務を担当。その後2020年秋に大学院へ進学。ACEにて半年のインターンシップを経て、2021年6月より現職。企業との連携、啓発活動、政策提言などを担当。
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2022
10/11
ARTs×SDGsプラクティス④「カカオの児童労働解決をめざす『しあわせへのチョコレート』プロジェクト」
講師:
川村 祐子(認定NPO法人ACE ソーシャルビジネス推進事業部 リサーチャー)
第4回では、世界の子どもを児童労働から守る認定NPO法人 ACE(エース)より川村祐⼦さんにお越しいただきました。何が児童労働を生み出すのか?ということを受講生同士で考えあう時間も設けていただきつつ、ご講義くださいました。
まずお話しいただいたのは、「児童労働とは」。児童労働は、3つの国際条約で定義されています。⼦どもの権利条約(国連、1989年)では、18歳未満の子どもは義務教育を受けることも子どもの権利のひとつであると明記されています。そして最低年齢条約(ILO第138号、1973年)では働いてよいのは原則15歳からと定めており(例外規定あり)、最悪の形態の児童労働条約(ILO第182号、1999年)では子どもの心身の健康に著しく悪影響を及ぼす労働は18歳未満は即禁止と定められています。
児童労働は途上国を中心とした問題に留まるものなのでしょうか。先進国にも児童労働はある、と川村さんは言います。JKビジネスなどの性的搾取や詐欺などの犯罪に児童が利用されることもある他、ヤングケアラーも紛れもない児童労働のひとつ。日本も児童労働に全く無関係ではないのです。
統計によると、世界の子どものおよそ10人に1人が学校に行けずに働かされているという実情があります*。川村さんは「年齢の低い子の労働ほど教育機会の損失や健康な⼼⾝の⽣育に影響するため、児童労働から引き離す必要がある」と撤廃の重要性を強く主張されました。
ACEは「私たちは、⼦ども、若者が⾃らの意志で、⼈⽣や社会を築くことができる世界をつくるために、⼦ども、若者の権利を奪う社会課題を解決します。」というパーパス(団体の存在意義)を掲げ活動をしています。社会課題を一つのシステムとしてとらえ、各方面にアプローチをすることで課題解決を図っています。活動の一例として、カカオ産業における児童労働問題の解決を目指す 「しあわせへのチョコレート」 プロジェクトを紹介くださいました。まず児童へのアプローチとしては、児童労働から引き離すだけではなく教育を受けられる状態にし、現地にACEがいなくても自分達で回していけるような仕組みをつくるという支援をしています。 教育が受けられないことによって読み書きができず、生きていくための選択肢が広がらないという問題こそ、負の連鎖のもとであるとACEは捉え、循環の改善を図っているのだといいます。 他にも、環境面からのアプローチとして現地の村の人たちによる児童労働モニタリングチームでの見守り活動、子どもの権利クラブの創設と運営、子どもを働かせるのではなく大人同士で助け合う仕組みづくりをしたり、と様々な取り組みをご紹介いただきました。
アプローチの場所はガーナ現地だけに留まりません。児童労働のないチョコレートを生産・販売し、その売上からの寄付をもとにACEが支援を続けていくという循環づくり「1チョコ for 1スマイル」や、行政・企業・NGOなどが協働し取り組むアプローチ「コレクティブ・インパクト」の推進など、各種企業等へのアプローチも進められています。
最後に、一人一人ができることとして「情報収集をしたり、家族や知人と児童労働の話をしてみてもらえると嬉しい」と受講生に向けてお話しされました。
* ILO&UNICEF Global Estimate 2021による。
まずお話しいただいたのは、「児童労働とは」。児童労働は、3つの国際条約で定義されています。⼦どもの権利条約(国連、1989年)では、18歳未満の子どもは義務教育を受けることも子どもの権利のひとつであると明記されています。そして最低年齢条約(ILO第138号、1973年)では働いてよいのは原則15歳からと定めており(例外規定あり)、最悪の形態の児童労働条約(ILO第182号、1999年)では子どもの心身の健康に著しく悪影響を及ぼす労働は18歳未満は即禁止と定められています。
児童労働は途上国を中心とした問題に留まるものなのでしょうか。先進国にも児童労働はある、と川村さんは言います。JKビジネスなどの性的搾取や詐欺などの犯罪に児童が利用されることもある他、ヤングケアラーも紛れもない児童労働のひとつ。日本も児童労働に全く無関係ではないのです。
統計によると、世界の子どものおよそ10人に1人が学校に行けずに働かされているという実情があります*。川村さんは「年齢の低い子の労働ほど教育機会の損失や健康な⼼⾝の⽣育に影響するため、児童労働から引き離す必要がある」と撤廃の重要性を強く主張されました。
ACEは「私たちは、⼦ども、若者が⾃らの意志で、⼈⽣や社会を築くことができる世界をつくるために、⼦ども、若者の権利を奪う社会課題を解決します。」というパーパス(団体の存在意義)を掲げ活動をしています。社会課題を一つのシステムとしてとらえ、各方面にアプローチをすることで課題解決を図っています。活動の一例として、カカオ産業における児童労働問題の解決を目指す 「しあわせへのチョコレート」 プロジェクトを紹介くださいました。まず児童へのアプローチとしては、児童労働から引き離すだけではなく教育を受けられる状態にし、現地にACEがいなくても自分達で回していけるような仕組みをつくるという支援をしています。 教育が受けられないことによって読み書きができず、生きていくための選択肢が広がらないという問題こそ、負の連鎖のもとであるとACEは捉え、循環の改善を図っているのだといいます。 他にも、環境面からのアプローチとして現地の村の人たちによる児童労働モニタリングチームでの見守り活動、子どもの権利クラブの創設と運営、子どもを働かせるのではなく大人同士で助け合う仕組みづくりをしたり、と様々な取り組みをご紹介いただきました。
アプローチの場所はガーナ現地だけに留まりません。児童労働のないチョコレートを生産・販売し、その売上からの寄付をもとにACEが支援を続けていくという循環づくり「1チョコ for 1スマイル」や、行政・企業・NGOなどが協働し取り組むアプローチ「コレクティブ・インパクト」の推進など、各種企業等へのアプローチも進められています。
最後に、一人一人ができることとして「情報収集をしたり、家族や知人と児童労働の話をしてみてもらえると嬉しい」と受講生に向けてお話しされました。
* ILO&UNICEF Global Estimate 2021による。
講師プロフィール
認定NPO法人ACE ソーシャルビジネス推進事業部 リサーチャー