西尾 美也(にしお よしなり)
美術家/博士(美術)。1982年奈良県生まれ、同在住。
2011年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。専門は先端芸術表現。研究作品《Self Select in Nairobi》《Overall: Steam Locomotive》と、博士論文「状況を内破するコミュニケーション行為としての装いに関する研究」で博士号(美術)を取得。
文化庁新進芸術家海外研修制度2年派遣研修員(ケニア共和国ナイロビ)等を経て、2015年奈良県立大学地域創造学部専任教員に就任。
装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目し、市民や学生との協働によるプロジェクトを国内外で展開している。代表的なプロジェクトに、世界のさまざまな都市で見ず知らずの通行人と衣服を交換する《Self Select》や、数十年前の家族写真を同じ場所、装い、メンバーで再現制作する《家族の制服》、世界各地の巨大な喪失物を古着のパッチワークで再建する《Overall》などがある。六本木アートナイト2014ではテーマプロジェクトを手がけ、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、国立新美術館の3ヶ所で古着を再利用した大規模な作品を発表した。
また、2009年には西尾工作所ナイロビ支部を、2013年にはアラカワ・アフリカ実行委員会を結成し、アフリカと日本をつなぐアートプロジェクトを企画・運営している。現代美術家として探究してきた装いに対する考察をもとに、2011年にはファッションブランドFORM ON WORDSを設立した。
- 必修科目
- ダイバーシティ実践論
2017
12/18
アーティストの活動・文化事業から考える8「学びの共有空間としてのアート」
講師:
西尾 美也(美術家)
西尾さんは「装い」が社会におけるメディアであることに着目し、時代や習慣、文化によって役割が付与され制服化・無意識化した装いの閉ざされたコミュニケーションを装いによって取り戻すため、ワークショップやアートプロジェクトの手法を用い市民や学生とともに共同制作を行なっています。
制作を通し社会に介入するにはどうしたらよいか。まずはその場所にとびこみ、相手の立場になって「ともに自由になる」「一緒にある状況を作って行く」ことを考えたそうです。代表的なプロジェクトである「Overall」は人々から古着を集め、それを切って布とし、その土地で失われた巨大なものの形にパッチワークする作品です。アフリカでは機関車の形を作り線路の上でパレードを行い、上野では再建されなかった上野の大仏を形作り建設予定地に展示しました。これらの作品は制作中の様子に惹かれて集ってきた人々との偶然の出会いによって制作されていますが、作業を続けるうちに人々の間には家族のような関係性が生まれました。このことから服が社会デザインとしてのアート、コミュニティをデザインできるかもしれないという考えに至り、次の作品へと繋がっていったといいます。そのほか、共同制作や学びの場所、関係性を開く場としての自身の作品を通し、現在美術家として探求してきた社会の関わりについての例を沢山お話してくださいました。
講義の最後に日比野さんは「普段は服に意識が向かいないが、西尾さんの(手による)古着の布が縫い付けられた服を身につけると服の存在に「はっ」とさせられる。」と、個人の意識に介入し、既存の見方を転換させるアートのちからについてコメントしました。
制作を通し社会に介入するにはどうしたらよいか。まずはその場所にとびこみ、相手の立場になって「ともに自由になる」「一緒にある状況を作って行く」ことを考えたそうです。代表的なプロジェクトである「Overall」は人々から古着を集め、それを切って布とし、その土地で失われた巨大なものの形にパッチワークする作品です。アフリカでは機関車の形を作り線路の上でパレードを行い、上野では再建されなかった上野の大仏を形作り建設予定地に展示しました。これらの作品は制作中の様子に惹かれて集ってきた人々との偶然の出会いによって制作されていますが、作業を続けるうちに人々の間には家族のような関係性が生まれました。このことから服が社会デザインとしてのアート、コミュニティをデザインできるかもしれないという考えに至り、次の作品へと繋がっていったといいます。そのほか、共同制作や学びの場所、関係性を開く場としての自身の作品を通し、現在美術家として探求してきた社会の関わりについての例を沢山お話してくださいました。
講義の最後に日比野さんは「普段は服に意識が向かいないが、西尾さんの(手による)古着の布が縫い付けられた服を身につけると服の存在に「はっ」とさせられる。」と、個人の意識に介入し、既存の見方を転換させるアートのちからについてコメントしました。
講師プロフィール
美術家