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2019
5/27

ダイバーシティ実践論5「ALSとコミュニケーションの重要性」

講師: 真下貴久(ALS当事者)
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の当事者である真下貴久さんに「ALSとコミュニケーションの重要性」をテーマにお話をお伺いしました。
今回の講義には、DOORの修了生が真下さんのサポーターとして参加しました。
昨年のDOORの「ケア実践場面分析演習」で真下さんに取材させていただいた受講生のうち数名が真下さんの活動のサポーター登録をしています。

ALSは筋肉の萎縮と筋力の低下を引き起こしていく難病であるため、言葉を発することが難しくなります。
講義でのコミュニケーションは、真下さんご自身の肉声データで製作されたコンピュータ発話ソフトと、
真下さんが開発した「Air Flick(エア文字盤)真下式」を使って行われました。
これは、スマートフォンのフリック入力のように、真下さんが目を動かして平仮名で一文字一文字伝え、それをヘルパーが読み上げます。

 

真下さんはALSの4大ストレスを「喋れない」「動けない」「食べれない」「呼吸できない」として紹介した後、
「あなたなら、生きることを選択しますか?」と受講生に問いかけます。

その上でお話されたのは、「助けてくれたのは、薬ではなく人」ということでした。

 

わたしも初めは何とか進行を遅らせる薬のことばかりかんがえていました。そのころは、四六時中あたまのなかは、ALSでした。いまをみうしなってました。どうびょうのかたにいまをたいセつにするほうほうをおしえていただきました。失いながらもタイセツなものをえるほうほうを。」(文字入力の原文ママ)

 

現在は当事者同士がつながり、選択肢を知る機会をつくるために、
「ALS患者さんに聞こう!『自分をプレゼン』」をはじめとした、ALS当事者という立場からの情報発信を日本各地で行っていらっしゃいます。
また、受講生からの「野望はなんですか?」とう質問には、「同じように困っている人への助けになるように、訪問介護事業所を開設したい」とお答えになりました。

 

真下さんからの問いかけに対する答えを想像しながら講義を聴いたとき、
語られる話の前向きさ、そしてユーモアを交えて語られる姿から、
真下さんの強さを感じ、聴く側も力をもらうことができた講義でした。

講師プロフィール

ALS当事者

真下貴久

1980年12月大阪府堺市生まれ、2015年2月 34歳の時にALSを発症。
現在ALS当事者の立場から、
「人との出会い、つながりは、病気を乗り越えることができる」
との思いを持って活動を続ける。
コミュニケーション支援講座にて、ローテク(フリック文字盤・エア文字盤等)、
ハイテク(ICT)を融合したコミュニケーション方法を伝えている。