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2017
10/16

地域とつながる福祉拠点2「恋する豚研究所と多古新町ハウス」

講師: 飯田 大輔(社会福祉法人 福祉楽団 理事長)
飯田さんが代表を務める「恋する豚研究所」は、養豚から精肉やハムなどの販売を行なっています。2階の食堂では、しゃぶしゃぶ定食などが提供され、平日でも沢山の人で賑わっています。社名や看板には、社会福祉法人や福祉施設の言葉がないため、お客さんのほとんどは、ここが障害者施設だということを知りません。「福祉を売りにすれば、一時的な購買には繋がるかもしれないが、働いている障害者の給料は上がらない。また、福祉を言い訳にしてしまうと、安全で高品質な商品は作れない。福祉を売りにも言い訳にもしないこと、それこそがノーマライゼーションである」と語ります。

恋する豚研究所と同じく、千葉県香取郡にある「多古新町ハウス」では、児童デイサービス、訪問介護ステーションなどを実施。ここに子供達が勉強するスペースを寺子屋と名付けて提供しています。ここでは、子供から高齢者までいろんな世代が同じ場所で過ごしています。

埼玉県の吉川団地にある、訪問介護の事業所では縁側を作り、外から見えるようになっています。すると、自然と近所の方が集まって来るようになり、主婦の方たちが料理教室をはじめ、やがては近所の子供たちなど、近隣住民がご飯を食べに来るようになったそうです。

これからは、関係性をつくることが重要になってくる、と飯田さん。福祉の領域は閉じている。介護が必要になってから、福祉のことを知るということでは不十分。もっと日常的に福祉施設を開いていくことと、福祉の人材は地域の人と関わることが必要だ、と語りました。

講師プロフィール

社会福祉法人 福祉楽団 理事長

飯田 大輔

1978年千葉県生まれ。東京農業大学農学部卒業。日本社会事業学校研究科修了。千葉大学看護学部中途退学。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程修了(学術)。
2001年、社会福祉法人福祉楽団を設立。特別養護老人ホーム等の相談員や施設長などを経て、現在、理事長。
2012年、障害のある人にきちんとした仕事をつくるため株式会社恋する豚研究所設立、現在、代表取締役。京都大学こころの未来研究センター連携研究員、東京藝術大学非常勤講師。
主な論文に「クリエイティブなケア実践の時代へ 『ケアの六次産業化』という視点」(週刊社会保障第2782号)。
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士。