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  • ダイバーシティ実践論
2017
10/2

地域とつながる福祉拠点1 「暮らしの保健室とマギーズ東京」

講師: 秋山 正子(株式会社ケアーズ代表取締役、暮らしの保健室 室長、マギーズ東京 センター長)
秋田県に生まれ、9人兄妹の末っ子だった秋山さんは、仲の良かった姉を癌で亡くしたことから、在宅医療や在宅ホスピスを中心とした訪問看護について学ぶことを決意しました。訪問看護の実践から見えてきたことは、もっと早く相談が受けられていたら、という状況が多いことと、相談したいけれどもできないという心情でいる人も多いことでした。

新宿にある「暮らしの保健室」は、医療や暮らしに関する悩みを聞いてくれる施設です。ここには、医師、訪問看護師、ヘルパー、ケアマネージャーなど医療・介護・福祉などの人材がフラットな関係で話し合い、利用者を支えています。多くのボランティアと共に、困難を抱えた人を地縁で見守る活動を実践しています。

豊洲にある「マギーズ東京」は、人に話したくなる空間を意識し、建築・空間とヒューマンサポートを柱にした施設です。がん患者や家族、医療者など、がんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約なしで立ち寄ることができ、サービスは無料。一人ひとりにきちんと向き合い、友達のように傾聴します。病院と家の間にある第2の我が家的な場所で、自分らしさを取り戻すサポートをしています。

現在まで、様々な拠点を開設されていますが、目の前の困っている患者さんをなんとかしたい、という思いで活動を続けています。最後にマギーズが大事にしているキーワード、ケアリング(お互いにケアをしあう)、シェアリング(お互いの気持ちを共有し合う)、ダーリング(勇気を持って一歩前へ踏み出す)を紹介して講義を結びました。

講師プロフィール

株式会社ケアーズ代表取締役、暮らしの保健室 室長、マギーズ東京 センター長

秋山 正子

秋田県生まれ。1973年聖路加看護大学卒業。関西にて臨床及び看護教育に従事。実姉の末期がんの看取りの経験時に在宅ホスピスケアに出会い、1992年から東京新宿区にて訪問看護を開始。2001年母体法人の解散に伴い、会社設立。
 現在(株)ケアーズ代表取締役、白十字訪問看護ステーション統括部長として、新宿区及び東久留米市にて訪問看護・居宅介護支援・訪問介護の3事業を展開。

 異名は「市谷のマザーテレサ」。2010年3月NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に訪問看護師秋山正子として取り上げられる。イギリスのマギーズセンターに出会い、がん患者と家族のための新しい相談支援の形を模索。現在、NPO法人maggie’s tokyoの共同代表を務める。2016年10月東京都江東区豊洲にマギーズ東京をオープン、センター長に。2011年、高齢化の進む巨大団地に「暮らしの保健室」開設。住民の健康や介護に関する相談に応じ、地域医療連携にも関与している。2014年9月NHKスペシャルにて「新宿“人情”保健室」としてドキュメントされる。

著書
「つながる・ささえる・つくりだす 在宅現場の地域包括ケア」2016年(医学書院)
「家で死ぬこと考えたことありますか?」2012年(保健同人社)
「在宅ケアのはぐくむ力」2012年(医学書院)ほか