• 必修科目
  • ダイバーシティ実践論
2017
5/1

これからの市民に求められる態度2「トポスとしてのミュージアム」

講師: 伊藤達矢(東京藝術大学 特任准教授)
トポスとは、意義を感じ取れる場所、役割を見出せる場所。美術館でトポスのような場所を開いていけるのかという試み「とびらプロジェクト」の事例を紹介しました。

専門家と市民が一緒になって、社会装置としての美術館という場所を考えてアクションを起こしていくプロジェクトで、そこで活躍するのがサポーターではなく、ボランティアでもなく、プレイヤーとして活動を作っていく「とびラー」。それぞれのコミュニティにいる人が集える別の場所、自分たちの役割を見出せる場所を社会の中に設定する必要がある。美術館は、様々な価値観を共有することのできる非日常の空間。
とびらプロジェクトから自分の生活圏に帰ってからも、つなぎ手として、繋がり合う社会を作ることができる。

ミュージアムは肝臓に例えられるのではないか、と伊藤さん。肝臓は、食物(作品や記憶、価値など)から摂り入れた栄養素を分解、代謝し、有害物質を処理する。さらに、栄養素の貯蔵倉庫となり、それを体内に届ける役割を果たしている。そういった場所が社会の中に必要で、今まで建物に付帯されていた価値を「人」に戻していくことが新しい公共である、と語りました。

講師プロフィール

東京藝術大学 特任准教授

伊藤達矢

福島県会津地方で行なわれる「森のはこ舟アートプロジェクト」ディレクターや、「福島藝術計画×Art Spport Tohoku-Tkyo」企画運営など、数々のアートプロジェクトを手掛ける。