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2023
2/4

ケア実践場面分析演習⑤最終報告会

講師: 金野千恵(建築家/teco)
台東区のイベントスペース「SOOO dramatic!」をお借りして、授業で制作した作品の展覧会を行いました。また、展覧会前日には、実習先の皆さんをゲストに迎え、最終報告会も行いました。

「座学の講義を受動的に受け止めるだけでなく、実感を伴いながら、自分たちで表現していくことで社会に伝えていきたい。」その想いから始まった本授業の最終回です。受講生が時間をかけて吸収して積み重ね、突き詰めてきた作品たちが会場に展示されました。

前回授業までは発表時にパワーポイントを使用していましたが、、今回は各チームとも作品を前に、作品の説明から感想や想いまでを発表しました。
発表を受けて、金野先生からコメントをいただき、実習先の方々からも感想をいただきました。1チームあたりの持ち時間を約30分と少し長くしたこともあり、受講生、金野先生、実習先でお世話になった方々とが対話を重ねるような時間となりました。

金野先生からの総評
「実感を持って、それぞれが深い考えができたこと、しっかり刻んだことがなによりの宝だと思います。この授業の良いところは、最後まで走りきった人たちが、表現者として世に出て行くこと。自分たちが触れてこなかった世界に触れることは経験を通してでしか実感できません。実習先の子どもたちと出会うことで、『聞く』『待つ』という時間の豊かさに気がつかせてくれたと思います。私たちが気づく時間をもらっているのではないでしょうか。皆さんの発表の端々で『今後も考えていきたい』と言われていて、そういう気持ちが芽生えたことこそ、広がって行く種だと思います。皆さんの実感の延長上に世界観を作ってくれて、感動しました。実習先の皆さんには、忙しい中、何度も訪ねて来る受講生をあたたかく受け止め、見届けていただけたことに感謝しています。」

実習先の皆さんからは「ケアは仕事でも使命でも義務でもない、目の前の人と作り出すアートだということが腑に落ちた。」「皆さん自身が成果物。皆さんから広がって続いていくことが、まさしくソーシャルアクションだなと思った。」「3年間続けて、このテーマを考えてくれたことに感謝。たくさんの応援団から応援をもらったような心強い気持ち。」という感想をいただきました。

受講生からも、「まだ答えは見つからないけれど、答えは見つからなくて良いとも思えた。子どもたちも一人一人違うし、自分もそう。対話して問いをシェアすること、それ自体がアートであり表現の一つだと感じた。対話が連鎖し、新しい対話が生まれることが大切だと感じた。」という感想をもらいました。

この最終報告会と展覧会をもって、7ヶ月に亘る授業が終了しました。各チームの作品解説と感想はウェブサイトに掲載してありますので、是非ご覧ください。実習先の皆様、ご協力いただき誠にありがとうございました。

講師プロフィール

建築家/teco

金野千恵

1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学など゙にて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。2021年より、京都工芸繊維大特任准教授。