1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学など゙にて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。2021年より、京都工芸繊維大特任准教授。
- 必修科目
- ケア実践場面分析演習
2022
10/2
ケア実践場面分析演習③中間発表2
講師:
金野千恵(建築家/teco)
はじめに、「共愉の風景へ」というテーマで金野先生にレクチャーいただきました。共愉とは、イヴァン・イリイチが提唱する「コンヴィヴィアル」の日本語訳に由来します。「一緒に楽しむ風景をどのように作っていくか」という考えを主軸としたレクチャーとなりました。
最初に、この考えを持つことになったきっかけをお話しいただきました。ネパールなどにある「屋根付きの半屋外空間」のリサーチから、地域と自然に繋がる空間に可能性を感じられたそうです。その存在で、制度では解決できないけれど救われる人がいるのではないか、作り手だからこそできる社会の変え方があるのではないか。そこから、お話は地域やケア、福祉の分野へと広がっていきました。
事例として、「水と土の芸術祭 山から海へ旅するカフェ」「地域ケアよしかわ」「春日台センターセンター」でのプロジェクトや建築の取り組みが紹介されました。スライドを通して、「良い形を与えれば良い、素敵な作品を作れば良いというだけが表現ではないと思っている。いろんな人の知識、営みを理解し、教えてもらいながら実現していく、そういう表現の可能性に興味がある。」というお話が伝えられました。
最後に、「皆さんが向き合っていることや課題は、すぐ答えが見えるものではない。長い時間をかけていく中で、少しずつ理解してくれる人の輪が広がり、自分の中でこういう方向で進めていかなくては、という使命感が強くなったり、そういう色々な人が一緒に成長していく枠組みに足を踏み入れている。成果物を作るだけがゴールではなくて、一緒に作るプロセスを楽しむこと、授業が終わっても、見つけたテーマに前を向いていけると良いのではないか。」というメッセージが受講生へ送られました。
後半は、2回目の中間発表を行いました。各チーム、約1ヶ月間の進捗や方向性をプレゼンし、金野先生から質問やアドバイスをいただきました。
終了後には意見交換の時間を設け、「映像を作る際には自分の眼差しを大事にすること」「SNSで事例を集める場合、数を集めるのはなかなか難しいので工夫が必要」というアドバイスがチームという枠組みを越えて交換されました。
金野先生からのまとめでは
「限られた対面取材の時間、どういう記録を残しておくのかが重要になる。スキル的にわからない時は他のチームとの協力体制を作っていけると良いかと思う。また、なかなかコンタクトがとれない、現場に入り込むのが難しいというチームもあると思う。けれど、これがまさに実際の難しさであって、社会に伝わっていかない理由の一つだとも言えます。その距離感の中で、自分たちが考えを変えていけたこと自体を表現していく可能性もあります。難しいから『作れない』と思うのではなく『視点を変えてみる』ということも含めて1ヶ月半とりくんでみてほしいと思います。」というメッセージが送られました。
次回はいよいよ、展示形式の講評会です。
最初に、この考えを持つことになったきっかけをお話しいただきました。ネパールなどにある「屋根付きの半屋外空間」のリサーチから、地域と自然に繋がる空間に可能性を感じられたそうです。その存在で、制度では解決できないけれど救われる人がいるのではないか、作り手だからこそできる社会の変え方があるのではないか。そこから、お話は地域やケア、福祉の分野へと広がっていきました。
事例として、「水と土の芸術祭 山から海へ旅するカフェ」「地域ケアよしかわ」「春日台センターセンター」でのプロジェクトや建築の取り組みが紹介されました。スライドを通して、「良い形を与えれば良い、素敵な作品を作れば良いというだけが表現ではないと思っている。いろんな人の知識、営みを理解し、教えてもらいながら実現していく、そういう表現の可能性に興味がある。」というお話が伝えられました。
最後に、「皆さんが向き合っていることや課題は、すぐ答えが見えるものではない。長い時間をかけていく中で、少しずつ理解してくれる人の輪が広がり、自分の中でこういう方向で進めていかなくては、という使命感が強くなったり、そういう色々な人が一緒に成長していく枠組みに足を踏み入れている。成果物を作るだけがゴールではなくて、一緒に作るプロセスを楽しむこと、授業が終わっても、見つけたテーマに前を向いていけると良いのではないか。」というメッセージが受講生へ送られました。
後半は、2回目の中間発表を行いました。各チーム、約1ヶ月間の進捗や方向性をプレゼンし、金野先生から質問やアドバイスをいただきました。
終了後には意見交換の時間を設け、「映像を作る際には自分の眼差しを大事にすること」「SNSで事例を集める場合、数を集めるのはなかなか難しいので工夫が必要」というアドバイスがチームという枠組みを越えて交換されました。
金野先生からのまとめでは
「限られた対面取材の時間、どういう記録を残しておくのかが重要になる。スキル的にわからない時は他のチームとの協力体制を作っていけると良いかと思う。また、なかなかコンタクトがとれない、現場に入り込むのが難しいというチームもあると思う。けれど、これがまさに実際の難しさであって、社会に伝わっていかない理由の一つだとも言えます。その距離感の中で、自分たちが考えを変えていけたこと自体を表現していく可能性もあります。難しいから『作れない』と思うのではなく『視点を変えてみる』ということも含めて1ヶ月半とりくんでみてほしいと思います。」というメッセージが送られました。
次回はいよいよ、展示形式の講評会です。
講師プロフィール
建築家/teco