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2022
6/20

ケア原論2「人間のみつめかた/新鮮な空気のケア/終末期のケア/観察とは何か」

講師: 飯田大輔(社会福祉法人福祉楽団 理事長)
第2回のケア原論では、前回に引き続き福祉楽団の飯田さんにお越しいただきました。 今回は受講生のコメントへのリアクションから始まり、「人間のみつめかた」や「介護・看護職における観察」などについてお話しいただきました。

まず、「人間の生活」を構造的に見る見方としてご紹介いただいたのは、ICF(国際生活機能分類)です。ICFの前身であるICIDHの考え方ではその人が持てる力、健康な力を活用することを軽視しているのではないか、という批判が起こり、この考え方が開発されたといいます。

次に「介護の対象としての人間」の見方として、「認識過程・生命過程・生活過程」という3つの過程で見る見方、「生物体・生活体」という2面で見る見方、人間ならではの性質を踏まえたケアという考え方などをお話しいただきました。

「認識過程・生命過程・生活過程」という3つの過程で人間を見ると、それぞれが密接に関わりあっていることがわかるといいます。この関わり合いがあるということは、「生活を整える」ことは対象者の認識・生命へも多大な影響を及ぼすことも意味します。

「生物体・生活体」という二つの側面で人間を見ると、「”人間”という普遍一般的な生物として」、「個別の生活を営んでいる個人として」とそれぞれに人間を考えることができます。現場では個別性に応じたケアを大事にされることがある、といいます。しかしながら、まずは「生物体としての人に必要なケアができているか」を検討したうえで「その人らしい〇〇とはなにか」を考えるべきであると主張されました。

人間ならではの性質という点では、人間の身体に「酸素を蓄える」という機能はほぼないに等しい性質から室内の換気はとても重要であること、人間以外の動物は自然に死を迎えるようにできているが、人間は死を迎える際の「自然」状態も意識的につくらなければならないという性質のもと苦痛(特に、介護の不行き届きによる苦痛)がないように生活を整えることが重要であるということなどをお話しいただきました。

最後にお話しくださったのは「観察の重要性」。介護や看護においては観察によって読み取ることが極めて重要で、人に関する積極的な関心がないとまず成り立たないといいます。観察はさりげなく行われるものとして習慣化されなければいけない、ともお話しされました。観察された利用者は消耗をするためです。観察によって利用者の最善がわかるようになっていく、と介護者・利用者の両者にとっての重要性を主張されました。

講師プロフィール

社会福祉法人福祉楽団 理事長

飯田大輔

1978年千葉県生まれ。
東京農業大学農学部卒業。日本社会事業学校研究科修了。千葉大学看護学部中途退学。
千葉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程修了。(学術修士)

2001年、社会福祉法人福祉楽団を設立し、特別養護老人ホームの生活相談員、施設長などを経て、現在、理事長。

2012年、株式会社恋する豚研究所を設立、現在、代表取締役。
現在、千葉大学非常勤講師、京都大学こころの未来研究センター連携研究員、ナイチンゲール看護研究所研究員。
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士。