• 必修科目
  • ダイバーシティ実践論
2022
11/14

ダイバーシティ実践論7「『真に』子どもにやさしい国をめざして 〜全ての子どもに温もりのある家庭を〜」

講師: 塩崎恭久(前衆議院議員)
ダイバーシティ実践論第7回では前衆議院議員の塩崎恭久さんをお招きし、「『真に』子どもにやさしい国をめざして〜全ての子どもに温もりのある家庭を〜」というテーマで児童福祉に関してお話いただきました。

保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育・保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行う「社会的養護」。この制度は、日本においても「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」という2つの理念において今日も推進されています。

まず、保護されている子どもたちはどういう状況にあるのでしょうか。数字で見てみると、虐待相談が年々増えている*1のに対し、保護児童数はほぼ横ばいの数で推移している*2ことが伺えます。この理由について、塩崎さんは「これは保護数上限に達してしまっているから」であると述べられました。

社会的養育関連政策は、平成28年に抜本的な改正がありました*3。この改正にて「すべて児童は権利を有する」という人権の前提をはじめ、子どもの最善の利益優先・家庭養育優先という児童福祉の大原則が法的に保証されることになりました。

今後、児童福祉はどのように歩んでいくことが望まれるのでしょうか。
まず塩崎さんが強く主張されたのは、里親養育のさらなる推進です。前述の改正にて里親原則が明記され、徐々に広がりつつあるものの、里親の数は未だ劇的な増加を見せてはいません。都道府県別の計画*4を見ると国家目標に届く目標すら立てられていない都道府県が大多数であることを指摘され、里親の広報やリクルート、里親に対する研修、子どもと里親家庭のマッチング、委託中・委託後における支援などの様々な支援を担うフォスタリング事業をさらに推進するべきだと塩崎さんは語りました。

次に、運営体制のさらなる整備についても述べられました。全国的な児童相談所の増設、特に中核市における児童相談所の必置化、すべての児童相談所における「里親推進課(仮称)」の設置(推進担当すらいない児童相談所もあるため)、里親・施設への措置費をニーズに対して柔軟化する制度の創設など、改善が求められる箇所は多くあることを主張されました。

「私たちはどのように児童福祉に関わることができるか?」という受講生からの質問に、塩崎さんは「里親登録をぜひしてほしい。しかし里親以外にも、レスパイトのために週1で関わるなどいろいろな関わりの形がありうる」と、実際に里親をされているご経験も顧みられながら答えられました。「我々は代弁していかなければならない。みなさんにも代弁をしてほしいし、私たちも代弁していかなければ」と、ご自身の児童福祉に対する熱い想いも溢されていました。

 

*1 厚生労働省『令和3年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)』https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000987725.pdf

*2 厚生労働省『社会的養育の推進に向けて』p.4「要保護児童数(全体)の推移」 https://www.mhlw.go.jp/content/000833294.pdf

*3 児童福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第63号)

講師プロフィール

前衆議院議員

塩崎恭久

1975年3月  東京大学教養学部教養学科卒業
1975年4月   日本銀行入行
1982年6月  ハーバード大学行政学大学院修了(行政学修士)
1993年7月  衆議院議員初当選(旧愛媛1区)
1995年7月  参議院議員当選(愛媛選挙区)
1997年9月  大蔵政務次官
2000年7月  衆議院議員当選(愛媛県第1区)
2004年10月  衆議院法務委員長
2005年11月  外務副大臣
2006年9月  内閣官房長官・拉致問題担当大臣
2014年9月  厚生労働大臣(~平成29年8月)
2017年10月  衆議院議員当選(衆8期、参1期)
~2021年10月