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2022
5/9

ダイバーシティ実践論2「ヤングケアラーとしての人生 ー適切な支援の方法は何かー」

講師: 宮崎 成悟(ヤングケアラー協会 代表理事)
難病で寝たきりの母のケアを16歳のころから担われていた宮崎さん。

ヤングケアラー元当事者として、またご自身が立ち上げられた一般社団法人ヤングケアラー協会の代表理事として、ヤングケアラーの定義や状況、ヤングケアラー当事者の声などをお話いただきました。

ヤングケアラーの定義は国によって異なり、日本においては「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どものこと。」という定義が広まっています(日本ケアラー連盟による)。

年々ヤングケアラーが増えているのには、大人だけでケアを担うことが限界になってきている状況があるといいます。その背景にあるものとしては、人口構造、家族形態、雇用・労働状況、社会福祉制度の仕組みなどが挙げられます。

宮崎さんは、ヤングケアラーのことを「自分が主人公として生きられなかった人たち」とも表現されていました。それまでほとんど家族のケアをすることに注力してきたために、ケアが終わった瞬間に自分の中になにもなくなってしまう、自分がよくわからなくなってしまう…という状況になるヤングケアラーが多く居るためです。

ヤングケアラーに対する「これをすれば解決する」という一律の支援方法はなく、ヤングケアラーの置かれた状況・ライフステージの変化等に応じて個々に対応する必要がある──と宮崎さんは主張されます。すべてのヤングケアラーが自分らしく生きられる社会の実現に向け、ヤングケアラーとしての人生の「出口」をつくるためのさまざまな活動を今現在続けています。

講師プロフィール

ヤングケアラー協会 代表理事

宮崎 成悟

元ヤングケアラー。15歳の頃から難病の母のケアを担い、大学卒業後、国内大手医療機器メーカーに入社。
3年で介護離職。その後、IT系企業複数社を経て、2019年にYancle株式会社を設立。
ヤングケアラーのオンラインコミュニティ、就職・転職支援事業を行う。
同事業の形態を変え、一般社団法人ヤングケアラー協会を設立。
厚生労働省・文部科学省のヤングケアラープロジェクトのオブザーバー参加。
厚生労働省「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」検討委員会 委員。
著書『ヤングケアラーわたしの語り』『Nursing Today ヤングケアラーを支える』等。