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2022
4/25

ダイバーシティ実践論1「ALSとコミュニケーションの変化」

講師: 真下貴久(訪問介護事業所たかのわ 代表)
ダイバーシティ実践論初回のテーマは「コミュニケーション」でした。

今回お招きした真下貴久さんは、現在ALS(筋萎縮性側索硬化症)当事者であるという立場から「人との出会い、つながりは、病気を乗り越えることができる」との思いをもって活動を続けている方です。令和元年8月より自ら訪問介護事業(訪問介護事業所たかのわ 代表)も起業しました。

ALSとは、体を意識的に動かすとき、脳などからの命令を筋肉に伝えるための神経細胞が侵されていく病気です。非常に進行が速く有効な治療法も確立されていない指定難病で、真下さんを含む現在約9,400人もの方がこの病と闘っているそうです。

ALSによってできなくなる4大ストレスがある、と真下さんは仰います。その4つとは、「喋れない」「動けない」「食べられない」「呼吸できない」。「最も過酷だと思うのは話せなくなり、意思が伝えられなくなること」とお話されました。

それに加えて、24時間365日、医療と介護と沢山の支えを必要とせざるを得ないこと、それによって経済的負担があること、家族を介護に付き合わせることなどへの精神的負担があること、ALS患者の約7割の方が人工呼吸器を付けず死を選択する現実があること…ALSをめぐるさまざまな困難をお話くださいました。

今回は真下さんの(発話されていた当時の)肉声データをもとにした合成音声を用いての講義、ベッドから車椅子への移乗の中継、視線入力ソフトによるパソコンへのタイピングや透明文字盤を用いての質疑応答の時間を設けていただきました。

質疑応答の時間では言葉をゆっくりとひとつひとつ紡いでいく行為、またそれを受け取る行為をリアルタイムで感じあい、コミュニケーションとは単に「言葉と言葉を交換する」というだけではない、ということを改めて実感する時間となりました。

講師プロフィール

訪問介護事業所たかのわ 代表

真下貴久

1980年12月大阪府堺市生まれ、2015年2月 34歳の時にALSを発症。
現在ALS当事者の立場から、
「人との出会い、つながりは、病気を乗り越えることができる」との思いを持って活動を続ける。
コミュニケーション支援講座にて、ローテク(フリック文字盤・エア文字盤等)、ハイテク(ICT)を融合した独自のコミュニケーション方法を伝えている。
これは真似できない!ではなく、手が届きそうで、届かないという位置を目指している(笑)
令和元年8月より自ら訪問介護事業を起業。