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  • ケア原論
2019
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講義のまとめ

講師: 飯田大輔(社会福祉法人 福祉楽団 理事長)
「ケア原論」最終講義。 今回のテーマは「社会のシステム」でした。 「対象者が要介護や認知症だったり色々あると思うけれど、これらをこの一対一でケアをやることはできる。しかしこれを社会としてやっていくには社会のシステムや基盤がとても大事であって、それがないと結局ケアは保障されない、社会で展開されていかないんです。これを皆さんがどう考え、どのような社会が望ましいと思っているかが重要になります。皆さんはどのような社会を望んでいますか。」と受講生への問いかけから始まりました。 そして日本のような保険証を出せば診察が受けられること、公的なサービスが受けられることは決して当たり前ではないことをアメリカの実例を映画で見ながら解説してくれました。 学んだ部分では「ケアに原論があるというのは応用の可能性があると学んだ。ケアは広い意味を見てたんだなとわかりました。講義でのナイチンゲールの先進性はすごい。「生きる力の消耗を最小限にする」という、それは高齢者や認知症と関係ない。人には皆生きる力がある。だからケアする・されるメディアの介護とは関係なく誰でもケアをされる必要性があるという見方があるんだと知った。」 実際の活動については「自分の実家に帰って、家族ともう一回録音した授業を聞き、学んだことを共有する」、「職場の窓を開ける」など身近なアクションに飯田さんも感心していました。 そして受講生の話を受けて、「こういうレクチャーで学んだというよりヒントに過ぎない。これから実際に学んでやっていかなくちゃいけない。それをどう活動につなげていけるかっていうのが重要だと思っている。ハンナ・アーレントの言葉を借りれば、「労働から仕事へ、仕事から活動へ」僕は最終的に芸術だと思っています。活動って伝えたい何かがある。それは表現も一緒だと思っています。活動につなげていくのが重要だなと。それを一人一人が考えて活動してやっていくことが、市民社会には非常に重要だと思っています。これをきっかけに成熟したケア社会・市民社会が実現されるってことを期待しています。」と受講生を激励しました。 ケアについて、1年を通して学んできましたが飯田さんからいただいたきっかけを、どう私たちが生きている社会の一員として活動できるのか。講義は終わりますが、力強いケアのバトンを渡されたような気持ちになりました。これからも小さなことから活動していきたいです。

講師プロフィール

社会福祉法人 福祉楽団 理事長

飯田大輔

1978年千葉県生まれ。東京農業大学農学部卒業。日本社会事業学校研究科修了。千葉大学看護学部中途退学。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程修了(学術)。
2001年、社会福祉法人福祉楽団を設立。特別養護老人ホーム等の相談員や施設長などを経て、現在、理事長。
2012年、障害のある人にきちんとした仕事をつくるため株式会社恋する豚研究所設立、現在、代表取締役。京都大学こころの未来研究センター連携研究員、東京藝術大学非常勤講師。
主な論文に「クリエイティブなケア実践の時代へ 『ケアの六次産業化』という視点」(週刊社会保障第2782号)。
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士。