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2019
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アートとしてのケア技術4「安心して病める社会を目指して~病が耕す人と地域とキングコング~」

講師: 仲地宗幸(株式会社NSPキングコング 専務取締役)
沖縄市にある焼肉食べ放題のお店「キングコング」は、スタッフ12名中9名が障害を持った方です。
2016年6月には就労A型を休止し、福祉雇用から一般雇用に切り替えました。
助成金や給付金に頼らず、黒字経営を継続しています。
繁盛した飲食店ですから、業務量が多く、立ちっぱなしでキツイ仕事です。
しかし、5年間で離職は2人。離職率が高いと言われている飲食業では非常に少ない人数です。そこには障害を持つ方にも働きやすくするための様々な工夫がありました。

具体的な指示ができるよう、冷蔵庫や棚に番号を振り、何を何番に仕舞えば良いかわかるようにすることや、どの仕事を何分やるかなどの時間割を作ることなど、一人ひとりに合わせた働き方のレシピを作っていました。
また、勉強会も週に2時間行われ、従業員同士の活発な意見交換が行われています。

非効率にも見えますが、こうした取り組みや工夫が相互理解を深めていき、対立しない文化を築いている。当事者に変われと言っても難しい、受け入れる方、社会の側の認識を変えることが大事。一人ひとりのキャラクターを理解し、その人の強みを活かすと、働く喜びがどんどん生まれてくる、と仲地さん。

講義の最後に、統合失調症の耕すチカラについて話しされました。
統合失調症の方の世界観に救われている、と話す仲地さん。
彼らの言うことを妄想や幻覚だと片付けてしまうのはもったいない、
彼らには対象を解体し、再構成するチカラがあると解説されました。

ものを解体し、言葉や常識から離れて、概念を解体する、当たり前を解体して再構成するというところにアートとの親和性を感じました。

講師プロフィール

株式会社NSPキングコング 専務取締役

仲地宗幸

1980年沖縄県那覇市出身。川崎医療福祉大学を優秀な成績で卒業し、2003年より高知県の医)精華園 海辺の杜ホスピタルに入職。病棟やデイケアでOT を行う。
2008年に帰冲し特医)葦の会 オリブ山病院に入職。訪問看護、ストレスケアユニットを担当する。2011年には精神病院を全廃したイタリア・トリエステに行き、脱医療・脱福祉の道を模索し始める。
2012年より(株)NSPキングコングで就労継続支援A・B 多機能事業所サービス管理責任者。2014年より同専務取締役就任。現在に至る。