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  • ケア原論
2018
10/13

介護の成り立ち・目的論

講師: 飯田大輔(社会福祉法人 福祉楽団 理事長)
「ケア」は多義的な意味合いのある言葉ですが、この講義で扱うケアは配慮、気遣い、世話などの意味ではなく、看護・介護の専門的、職業的な意味でのケアに焦点を当てています。

介護という概念は日本で生まれ、近代看護と根っこは同一で、英語ではNursing(ナーシング)と表されます。その近代看護を最初に確立させたのがF・ナイチンゲール。
彼女の著書「看護覚え書」には、すべての病気は回復過程である、という記述があります。
すべての病気が治るという意味ではなく、自然の回復力が患者に働きかけるに最も良い状態に置くこと、という意味です。
新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静けさを適切に整え、これらを活かして用いること。食事の内容を適切に選択し、適切に与えること。こういったことのすべてを、患者の生命力の消耗を最小にするように整えることを意味すべきである、と続きます。

看護師・介護福祉士は、医者の視点ではなく、ケアの視点で病気を見ていく必要がある。
生命力の消耗、という判断基準によって、ケアの方法を選択していかなければならないところに介護の専門性があります。
親切や思いやりという基準で介護をするのではなく、はっきりとしたものさし(基準)があることに気づきました。

講師プロフィール

社会福祉法人 福祉楽団 理事長

飯田大輔

1978年千葉県生まれ。東京農業大学農学部卒業。日本社会事業学校研究科修了。千葉大学看護学部中途退学。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程修了(学術)。
2001年、社会福祉法人福祉楽団を設立。特別養護老人ホーム等の相談員や施設長などを経て、現在、理事長。
2012年、障害のある人にきちんとした仕事をつくるため株式会社恋する豚研究所設立、現在、代表取締役。京都大学こころの未来研究センター連携研究員、東京藝術大学非常勤講師。
主な論文に「クリエイティブなケア実践の時代へ 『ケアの六次産業化』という視点」(週刊社会保障第2782号)。
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士。