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2018
12/17

アーティストの活動11「車イス押してくれませんか?自分を驚かせる働き方」

講師: 寺田ユースケ(車イスタレント / YouTuber 「寺田家TV」)
「ハイ!みなさんこんばんわ〜!」「拍手お願いしま〜す!」。これまでの講師とは異なる声のトーン。少々戸惑った表情の受講生もいる中、講義は始まりました。それもそのはず、寺田ユースケさんは、元・お笑い芸人。現在は、Youtuberとして活動し、ヒッチハイクしながら全国を巡りながらその様子を配信しています。脳性麻痺のため歩行困難で車椅子生活の寺田さん。旅には電動車椅子の方が楽に思えますが、寺田さんは車椅子を自分でこぎ、通りすがりの人に「押してくれませんか?」と声をかけ目的地に向かいます。これまで405組の人が寺田さんの歩みを前に進めたそうです。

「かぼちゃの馬車」。寺田さんは、車椅子のことをこう呼びます。あれだけ大変だった歩行困難から解放され、自由に行きたいところに行かれる。頼れる相棒を得た寺田さんは大学生の時にイギリス留学を果たしました。現地でコメディ番組が障害者のことを笑いのネタにしているのを見て衝撃を受けます。「障害者を大切に」一辺倒ではなく、明るく笑いのネタにするのか!自分もやってみようと帰国後はお笑い芸人の養成所入り。2年後には歌舞伎町のホストクラブでホスト(源氏名クララ)として働き始めます。

ホストクラブはお客様に「非日常」を提供する世界。車椅子は「現実」を突きつける存在。車椅子のネタでも笑わせたい。同僚ホストに頼んで、車椅子にお客様を乗せて化粧室まで運んでもらうなど、場が重い空気にならないようにとずっと考えていたそうです。また、親身になって支えてくれたホスト仲間との出会いを通じ、差別されたくないと思っていた自分自身が、ホストの仕事に偏見を持っていたことにも気づいたと語りました。

「笑われたくない人もいるし、笑いにしたい人もいる。それは、その人が車椅子かどうか、障害者かどうかではない。みんな一緒。」と寺田さん。障害による困難を自分は楽しく面白く昇華させたい、という強い思いを感じました。

 

講師プロフィール

車イスタレント / YouTuber 「寺田家TV」

寺田ユースケ

元車イス芸人・車イスホスト/ 車イスヒッチハイカーという異色な経歴を持つ。1990年 名古屋市生まれ。関西学院大 社会学部卒。
生まれつきの脳性麻痺により足が不自由。20歳の時に車イスと出会い行動範囲が広がり「かぼちゃの馬車」に乗ったかのようにポジティブになる。
大学在学中のイギリス単身留学で障がいを笑いにしていることに感銘を受け、帰国後、お笑い芸人になるも夢半ばで挫折。その後、新宿歌舞伎町で車イスホストとなる。現役引退後、友人たちとHELPUSH(気軽な助け合い)という概念をつくり、出会った方々に「車イス押してくれませんか?」と声かけて日本全国を廻る車イスヒッチハイクの旅を始め、東京と旅先を行き来しながら旅を進めている。
2018年に入籍。夫婦で個人事務所「寺田ユースケ事務所」を設立。妻とともにYouTube「寺田家TV」を始めYouTuberとなる。