1964年京都府生まれ。NHKプラネット近畿総支社番組制作センター統括部長/エクゼクティブ・プロデューサー。1990年に入局後、美術や福祉の番組を多数手がけ、2012年に『バリバラ』を立ち上げる。現在は『こころの時代』などを担当。
- 必修科目
- ダイバーシティ実践論
2018
11/26
アーティストの活動8「アート×福祉」
講師:
日比野 和雅(NHKプラネット近畿総支社番組制作センター/NHK Eテレ「バリバラ」元プロデューサー)
「障害者に一言お願いします。」と言われたら、あなたならどう答えますか?日比野和雅さんが知り合いの障害者の方に聞いたところでは、かけられる言葉の中で最も多いのは「頑張って」だそうです。前向きに頑張る障害者、サポートする仲間、そこから生まれる感動の物語…こうしたイメージは、テレビのドキュメンタリー番組などでの取り上げられ方の影響が大きいようです。「障害のある人ってこんな感じ」という固定化されたイメージを変えたい。日比野さんがEテレで「バリバラ」と言う番組を立ち上げる動機となりました。
「バリバラ」はバリアフリーバラエティのことで、障害者だけではなく、LGBTなど生きづらさを抱えているマイノリティにとってのバリアをなくすことをテーマに掲げています。障害者自身が障害をネタにコントをしたり、街頭インタビューで「障害者への一言」を尋ね、答えが「頑張ってください」の場合には、通行人を装っていた障害者が出てきて吉田拓郎の曲「ガンバラないけどいいでしょう」を歌い踊る。見る側はドキッとしながらも、ニヤッとさせられます。障害や福祉の課題を、当事者の問題ではなく、社会全体でどう考えるのか、バラエティの手法で問います。一方で、障害者と笑いは差別的なメッセージに受け取られる可能性もあります。「笑いは手法として使うが、障害者のことを笑うことはしない」。番組演出の選択においても、当事者への理解や尊敬の気持ちがあるかどうか、意識しながら制作しているそうです。
「障害者って大変」という思い込みや「障害者×感動エピソード」という固定観念を疑い、これまでとは違う視点でアプローチすること。説教じみた、うんざりするような言葉を重ねずに伝えること。クスッと笑わせたり、何これ?という体験を通じて、関心のない人を巻き込んでいくこと。「バリバラ」のこうした取り組みは、まさにアートが得意とすることでもあります。日比野さんは、福祉の課題にアートが関わるチャンスが今後広がっていくのではと述べ、福祉とアートの高い親和性に期待を寄せていました。
「バリバラ」はバリアフリーバラエティのことで、障害者だけではなく、LGBTなど生きづらさを抱えているマイノリティにとってのバリアをなくすことをテーマに掲げています。障害者自身が障害をネタにコントをしたり、街頭インタビューで「障害者への一言」を尋ね、答えが「頑張ってください」の場合には、通行人を装っていた障害者が出てきて吉田拓郎の曲「ガンバラないけどいいでしょう」を歌い踊る。見る側はドキッとしながらも、ニヤッとさせられます。障害や福祉の課題を、当事者の問題ではなく、社会全体でどう考えるのか、バラエティの手法で問います。一方で、障害者と笑いは差別的なメッセージに受け取られる可能性もあります。「笑いは手法として使うが、障害者のことを笑うことはしない」。番組演出の選択においても、当事者への理解や尊敬の気持ちがあるかどうか、意識しながら制作しているそうです。
「障害者って大変」という思い込みや「障害者×感動エピソード」という固定観念を疑い、これまでとは違う視点でアプローチすること。説教じみた、うんざりするような言葉を重ねずに伝えること。クスッと笑わせたり、何これ?という体験を通じて、関心のない人を巻き込んでいくこと。「バリバラ」のこうした取り組みは、まさにアートが得意とすることでもあります。日比野さんは、福祉の課題にアートが関わるチャンスが今後広がっていくのではと述べ、福祉とアートの高い親和性に期待を寄せていました。
講師プロフィール
NHKプラネット近畿総支社番組制作センター/NHK Eテレ「バリバラ」元プロデューサー