1981年神奈川県生まれ。2005年東京工業大学工学部建築学科卒業。2005-06年 スイス連邦工科大学奨学生。2011年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2011-12年神戸芸術工科大学助手。同年、KONNOを設立。2013-16年日本工業大学助教。2015年よりt e c o をアリソン理恵と共同で設立。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」(2011, 東京建築士会住宅建築賞 金賞, 日本建築学会作品選集 新人賞, グッドデザイン賞2012)、訪問介護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」(2016, SDレビュー2016鹿島賞)、共著に「WindowScape」など。2016年にヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展の日本館にて会場デザインを担い、審査員特別表彰を受けた。
http://te-co.jp
- 必修科目
- ダイバーシティ実践論
2018
11/12
アーティストの活動6「建築と福祉」
講師:
金野 千恵(建築家/teco)
建築家として福祉の現場をどう表現するかということを考えているという金野千恵さん。
金野さんの制作の幹となっているのは、人間らしい必要とされた空間。イタリアのロッジア(柱廊建築)やネパールのパティ(縁側のようなもの)のように、広場や通りに面し、あるときは儀式、あるときはマーケット、憩いの場ともなり、子どもの遊び場であり、交流の場ともなる、人々に応じて形作られていく空間です。
福祉の仕事に携わるきっかけは「地域ケアよしかわ」という訪問介護を中心とした事業を行う事務所の設計でした。ケアとは「耕す」こと。ケアを通して地域を耕していきたい、という希望を受け、「耕す」地域のニーズを洗い出す空間を提案しました。
また、みのわホーム(特別養護老人ホーム)はホームと地域の距離を考えるプロジェクト。ホームを取り囲む壁を切り崩し、入居者の居場所ともなり地域にも解放する庭を造りました。庭は地域とホームとが滲みあう場所となりました。
時には「建てる」のが空間でないこともあります。「あいかわくらすラボ」は愛川町で十年後を考えるプロジェクト。地域の資源を発掘することが目的とし、月1回~2回行っています。ここで金野さんが担っているのは新聞づくりです。会議での発言を速記し、その日のうちに印刷して配ります。良い点は参加者のモチベーションが上がること。「多世代交流フェスティバルをやろう!」という意見が出され、実現しました。最初に目的があって作っていくのではなく、必要なものをあぶり出してく活動が楽しい、と金野さん。
建築の依頼が来た時、金野さんはプログラムをもう一回組み立て直すことから始める、と言います。設計デザインをすることだけが「建築」ではなく、建物を使用する人々や、周囲の人々との関係性をつくる仕組みづくり、コミュニケーションをつくることも「建築」の担う役割です。毎回必要なスキルは何か、考える。そして、写真、映像、新聞など試行錯誤しながら見つけていく。そして、施主の描いているビジョンの先を提案していく。関係性の中からビジョンを描くこと、描いたことから次の関係性が生まれていく、という、制作の喜びに引き込まれた講義でした。
金野さんの制作の幹となっているのは、人間らしい必要とされた空間。イタリアのロッジア(柱廊建築)やネパールのパティ(縁側のようなもの)のように、広場や通りに面し、あるときは儀式、あるときはマーケット、憩いの場ともなり、子どもの遊び場であり、交流の場ともなる、人々に応じて形作られていく空間です。
福祉の仕事に携わるきっかけは「地域ケアよしかわ」という訪問介護を中心とした事業を行う事務所の設計でした。ケアとは「耕す」こと。ケアを通して地域を耕していきたい、という希望を受け、「耕す」地域のニーズを洗い出す空間を提案しました。
また、みのわホーム(特別養護老人ホーム)はホームと地域の距離を考えるプロジェクト。ホームを取り囲む壁を切り崩し、入居者の居場所ともなり地域にも解放する庭を造りました。庭は地域とホームとが滲みあう場所となりました。
時には「建てる」のが空間でないこともあります。「あいかわくらすラボ」は愛川町で十年後を考えるプロジェクト。地域の資源を発掘することが目的とし、月1回~2回行っています。ここで金野さんが担っているのは新聞づくりです。会議での発言を速記し、その日のうちに印刷して配ります。良い点は参加者のモチベーションが上がること。「多世代交流フェスティバルをやろう!」という意見が出され、実現しました。最初に目的があって作っていくのではなく、必要なものをあぶり出してく活動が楽しい、と金野さん。
建築の依頼が来た時、金野さんはプログラムをもう一回組み立て直すことから始める、と言います。設計デザインをすることだけが「建築」ではなく、建物を使用する人々や、周囲の人々との関係性をつくる仕組みづくり、コミュニケーションをつくることも「建築」の担う役割です。毎回必要なスキルは何か、考える。そして、写真、映像、新聞など試行錯誤しながら見つけていく。そして、施主の描いているビジョンの先を提案していく。関係性の中からビジョンを描くこと、描いたことから次の関係性が生まれていく、という、制作の喜びに引き込まれた講義でした。
講師プロフィール
建築家/teco