王 幸美(わん ゆきみ)
中国内モンゴル自治区生まれ。3歳のときに中国残留婦人である祖母の引き揚げと共に来日し、大阪府で育つ。
自己のルーツの否定やアイデンティティの混乱を経て、21歳のときにアメリカへ逃避行。現地の大学に入学し、人種問題、多文化教育、アイデンティティ発達等について幅広く学ぶ。
多文化共生センター東京では、主にバックオフィスの仕事に従事しながら、通訳や教育相談を通して外国にルーツを持つ子どもたちと関わっている。
- 必修科目
- ダイバーシティ実践論
2018
6/11
当事者との対話8「外国にルーツを持つ子どもと教育」
講師:
王 幸美(認定NPO法人多文化共生センター東京 事務局職員)
日本の在留外国人はおよそ256万人(法務省 2018年3月末のデータ参照)。その中で、大人と同様に増えているのは、外国にルーツを持つ子ども(0-17歳)です。外国にルーツを持つと言っても「一方の親が日本人」、「日本生まれだけれど、両親が外国人で日本国籍がない」など状況は様々です。王さんは、外国にルーツを持つ子どもたちを支援する団体で活動しています。
活動の中心は、学齢超過(15歳以上)で来日し、日本の高校への進学を希望する子どもたちが日本語と教科を学習できる「たぶんかフリースクール」の運営です。言葉の壁は、日本語が母語でない外国にルーツを持つ子どもの抱える課題そのものと言えます。小中学校へは希望すれば入学はできますが、日本語指導ができる教師が付くとは限らず、支援が十分とは言えません。話しかけられても答えられない、配布されたプリントの意味もわからない。授業が分からないまま不登校になる場合もあるそうです。高校進学のときは受験の壁が立ちはだかります。言語習得だけでも容易ではないのに、日本語での試験を5科目課されたら…高校進学の大変さも想像に難くありません。必要な時期に教育を受けられないということは、進路や就職に影響するだけでなく、孤立にもつながります。王さんは、国籍やルーツに関係なく、日本に暮らす全ての子どもたちの学ぶ機会を保障するために、行政が支援体制を整えるべきでは、と指摘します。
王さんも、3歳の時に中国から来日しました。長い間、自分のルーツに自信が持てずにいましたが、留学先のアメリカで多様なルーツを誇りにしている人々と出会い、自分を受け入れ始めたそうです。その時に感じた「ルーツも含めて自分のままでいいんだという解放感」を、今悩んでいる子どもにももってほしい。その気持ちが活動の原動力となっているのだそうです。「言葉」や「制度」という目の前の困難に寄り添いながら、子どもたちが自分自身を肯定し、社会で果たせる役割に気づくことで、困難を希望に変えてゆきたい、と講義を締めくくりました。
活動の中心は、学齢超過(15歳以上)で来日し、日本の高校への進学を希望する子どもたちが日本語と教科を学習できる「たぶんかフリースクール」の運営です。言葉の壁は、日本語が母語でない外国にルーツを持つ子どもの抱える課題そのものと言えます。小中学校へは希望すれば入学はできますが、日本語指導ができる教師が付くとは限らず、支援が十分とは言えません。話しかけられても答えられない、配布されたプリントの意味もわからない。授業が分からないまま不登校になる場合もあるそうです。高校進学のときは受験の壁が立ちはだかります。言語習得だけでも容易ではないのに、日本語での試験を5科目課されたら…高校進学の大変さも想像に難くありません。必要な時期に教育を受けられないということは、進路や就職に影響するだけでなく、孤立にもつながります。王さんは、国籍やルーツに関係なく、日本に暮らす全ての子どもたちの学ぶ機会を保障するために、行政が支援体制を整えるべきでは、と指摘します。
王さんも、3歳の時に中国から来日しました。長い間、自分のルーツに自信が持てずにいましたが、留学先のアメリカで多様なルーツを誇りにしている人々と出会い、自分を受け入れ始めたそうです。その時に感じた「ルーツも含めて自分のままでいいんだという解放感」を、今悩んでいる子どもにももってほしい。その気持ちが活動の原動力となっているのだそうです。「言葉」や「制度」という目の前の困難に寄り添いながら、子どもたちが自分自身を肯定し、社会で果たせる役割に気づくことで、困難を希望に変えてゆきたい、と講義を締めくくりました。
講師プロフィール
認定NPO法人多文化共生センター東京 事務局職員