福島 智(ふくしま さとし)
1962年兵庫県生まれ。3歳で右目、9歳で左目を失明。18歳で失聴し全盲ろうとなる。
1983年東京都立大学(現・首都大学東京)に合格、盲ろう者として初の大学進学。
金沢大学助教授などを経て、2008年より東京大学教授。盲ろう者として常勤の大学教員は世界初。
全国盲ろう者協会理事、世界盲ろう者連盟アジア地域代表などを務める。
著書に『盲ろう者として生きて』(明石書店) 『ぼくの命は言葉とともにある』(致知出版社)など。
- 必修科目
- ダイバーシティ実践論
2018
5/14
当事者との対話4「バリアフリーとは何か」
講師:
福島智(東京大学先端科学技術研究センター教授)
福島先生のご専門は、「バリアフリー分野」。
「『バリアフリー』とは段差をなくすなどの物理的障壁を取り除く、という意味で用いられるが、バリアとは、言い換えれば差別であり、排除であり、社会のいたるところにある。それは、どんな学問にもいえることであり、美術にもある。例えば、これまでの常識の壁をやぶる、などのバリアフリーもあるのではないか。バリアフリーとは、目に見えない壁であり、心や制度や意識も含めた、壁を壊す営みで、障がい者だけの問題ではない。世界には様々なバリアが複雑に絡み合った複合的バリアがあり、それをどのように解きほぐすかが、バリアフリーの中心的課題である」
というお話から、講義は始まりました。
障害を巡っては、現在、「医学モデル」と「社会モデル」という言葉がよく使われています。医学モデル=障害を治す。社会モデル=周囲のサポートを整備する。福島先生は、医学モデルと社会モデルからはカバーできない問題を、「実存モデル」で捉えないかと考えています。社会モデルではタッチできない問題、例えば、障害から起こる不便さに対してはサポートをするが、どのように障害と向き合うか?という問題は、本人の問題として放置されてしまいます。障害から起こる辛い経験から、どのように生きる意味を見出すかは本人にとって重要な部分であり、社会モデルを補うモデルとして、実存モデルを今後研究しなければならないと締めくくりました。
文字支援:特定非営利活動法人ホープ
「『バリアフリー』とは段差をなくすなどの物理的障壁を取り除く、という意味で用いられるが、バリアとは、言い換えれば差別であり、排除であり、社会のいたるところにある。それは、どんな学問にもいえることであり、美術にもある。例えば、これまでの常識の壁をやぶる、などのバリアフリーもあるのではないか。バリアフリーとは、目に見えない壁であり、心や制度や意識も含めた、壁を壊す営みで、障がい者だけの問題ではない。世界には様々なバリアが複雑に絡み合った複合的バリアがあり、それをどのように解きほぐすかが、バリアフリーの中心的課題である」
というお話から、講義は始まりました。
障害を巡っては、現在、「医学モデル」と「社会モデル」という言葉がよく使われています。医学モデル=障害を治す。社会モデル=周囲のサポートを整備する。福島先生は、医学モデルと社会モデルからはカバーできない問題を、「実存モデル」で捉えないかと考えています。社会モデルではタッチできない問題、例えば、障害から起こる不便さに対してはサポートをするが、どのように障害と向き合うか?という問題は、本人の問題として放置されてしまいます。障害から起こる辛い経験から、どのように生きる意味を見出すかは本人にとって重要な部分であり、社会モデルを補うモデルとして、実存モデルを今後研究しなければならないと締めくくりました。
文字支援:特定非営利活動法人ホープ
講師プロフィール
東京大学先端科学技術研究センター教授