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  • ダイバーシティ実践論
2018
4/16

当事者との対話1「誰もが誰かのALLY(アライ)になれる」

講師: 松岡宗嗣(一般社団法人fair 代表理事)
2018年4月に一般社団法人fairを立ち上げ、当事者として性的マイノリティが自分らしく生きられる社会にむけて、政策や法整備に関する情報を発信する活動を行なっている松岡さん。「いないのではなく見えていないのがLGBT。周囲から発せられた何気ない言葉に傷つき、表明できない状況にある人が多いから」と語り始めました。セクシュアリティは「アイデンティティ」の問題でもあります。社会は未だ男女二元論や異性愛が前提で、教育、就職、結婚・子育て、医療など、人生における様々な場面で性的マイノリティは社会の隅に追いやられてしまうのです。

松岡さんが同性を好きだと自覚したのは小学校高学年のころ。その後ゲイを自覚しながら彼女ができたものの、気になるのは男性で、高校時代はカミングアウトできず、ゲイという”キャラクター”かのように認識されていました。みんなが笑うならそれで良いと思いつつ、笑いにするか、隠すしか無かったといいます。高校卒業のタイミングで、友達にカミングアウト。反応は「いいんじゃない、宗嗣は宗嗣だし」。大学2年生の時、母に打ち明けました。「あなたの隣にいる人がいれば、男性でも女性でも誰でもいいんだよ」と言われ勇気につながったそうです。「カミングアウトは信頼の証」だと松岡さんはいいます。

大学ではオープンに振るまい、様々なセクシャリティの人々と出会うなかで「MEIJI ALLY WEEK」を開催しました。その中で実施した「ALLY in WHITE」では、白い服を着てLGBTを理解・支援したい人を表す「ALLY)についてSNSで発信するイベントです。ALLYとはアライアンスと同じ語源で、LGBTを理解し味方でありたいと思う、主に性的マイノリティではない人を指します。ALLYになるには、まず、性の多様性について知ること。そして、変わること。差別的な言葉を使わない、使っている人を注意する。会話の中で取り上げたり、性の多様性を象徴する6色のレインボーのシールを持ち物に貼って表明する、などの方法があります。

性的マイノリティの当事者であっても、誰かのALLYでありたいと言う松岡さん。一言にLGBTと言ってもセクシュアリティや置かれている状況は様々で、一人一人の立場や経験は異なります。一方的に支援する/されるだけではなく、だれもがだれかのALLYになれるのです。

沈黙は人が犯し易い過ちの一つ。松岡さんの講義から、表明するに至る切実さ、それによって得られる「信頼」「帰る場所」を誰もがだれかと共に作る必要性を学びました。

講師プロフィール

一般社団法人fair 代表理事

松岡宗嗣

松岡宗嗣(まつおか そうし)

1994年愛知県名古屋市生まれ。明治大学政治経済学部卒。一般社団法人fair代表理事。ハフポストや東洋経済等で執筆、LGBTに関する情報を発信している。LGBTを理解・支援したいと思う「ALLY(アライ)」を増やす日本初のキャンペーンMEIJI ALLY WEEKを主催。