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2021
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ケア実践場面分析演習 各チーム制作 実習先:ファミリーホームU家

講師: 金野千恵(建築家/teco)
<実習先の概要>

ファミリーホームU家へ実習に行きました。ファミリーホームは社会的養護が必要な子どもを社会全体で育てる家庭養育の一環で児童福祉法の定められる小規模住居型児童養育事業です。U家はファミリーホームを開設したばかりで、幼児2名、高校生1名、里母、里父、祖母の大家族です。皆さん、おおらかで子どもたちのことを第一に考えている温かい家族でした。

 

<実習の様子・テーマの設定までの道のりなど>

里親より「子どもたちの心の開放」というテーマをもらい、「クリスマスお楽しみ会」を開催し、バルーンアート、タイルモザイクアート等みんなで楽しみました。

交流では、それぞれの立場からの考えや感じていることを伺いました。里親からは愛情いっぱいに育てたい、子どもたちの居場所を作ってあげたい等、子どもたちへの温かい想い受け取り、子どもからは今まで経験してきた社会への不満や不安を受け取りました。

子どもの気持ちを受け入れ一緒に考えてくれる、あなたにとって必要な人、場所はあるという事を社会的養護が必要な子どもたちに伝えたいという結論になりました。

 

<作品のタイトル>

「あなたへの手紙」、「タイルモザイクアート」、「言葉の美術館」

 

<作品について(概要・誰に伝えたいかなど)>

「あなたへの手紙」では、社会的養護が必要な子どもたちへ伝えるために、「手紙」を選びました。自分への手紙を心待ちにするワクワクを感じながらポストを開けてほしい。交流で感じ取った気持ちをメンバーの言葉で手紙を書きました。

また、「タイルモザイクアート」はクリスマスお楽しみ会で一緒に取り組んだ作品を完成させました。里親の「大丈夫。頼っていいんだよ」という想いを作品に込め、U家のシンボルとなる作品です。

「言葉の美術館」はご家族が選んだ絵と、ご家族の何気ない言葉の力で、世界でただ一つの美術館ができあがりました。

 

<全体を通しての感想>

「誰に何を伝えるのか」という事をかなりの時間を割いて検討し、伝えることの難しさを身に染みて実感していたチームでした。

ファミリーホームに訪問をさせていただいたことは貴重な経験でした。子どもたちに必要な土台の家族。愛情たっぷり注いでくれるファミリーホームは子どもにとって大切な居場所であることを学びました。自分を大切に想ってくれる人がいるという事を子どもたちが知り、たくさんのメッセージがこれからの人生に寄り添う存在になることを願っています。

 

(文責:ファミリーホームU家チーム)

講師プロフィール

建築家/teco

金野千恵

1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学などにて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕 組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。
http://te-co.jp