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2021
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ケア実践場面分析演習 各チーム制作 実習先:中高生センター ジャンプ東池袋

講師: 金野千恵(建築家/teco)
<実習先の概要>

豊島区の児童厚生施設(児童館)。区内在住・在学の中高生が利用可能。近隣に居住または通学する子どもの居場所として機能している。スタッフは、子どもの「やりたい気持ち」を応援すべく、子どもたちとライブや映画撮影など様々なイベント活動を展開している。また、弁護士による見守りもあり、悩みの相談や課題の発見等により、必要があれば関係諸機関に繋げるなどのサポートも行っている。

 

<実習の様子・テーマの設定までの道のりなど>

子どもたちは、対話、飲食、まんが等の読書、TVゲーム、卓球、バスケットボール、楽器演奏(バンド活動等)などをして過ごす。DOORメンバーは、ライブ見学(10/25)、子どもたち制作・出演のアクション映画の撮影見学およびスタッフ取材(11/1)、月1回の子どもとスタッフによる定期の利用者会議の見学(11/18)、豊島区子どもの権利擁護委員である弁護士の方へのインタビュー(11/24)といった内容の施設訪問を行い、zoom等による打合せ(11/13他)を経て、方向性を模索。活動は、冬休みに施設で催される「若者食堂」を「普段と違う空間」にすることに決定。

 

<作品のタイトル>

「若者食堂に想いを込めて ~  アート・ふれあい・地球環境 ~」

 

<作品について(概要・誰に伝えたいかなど)>

「子どもたち」に「アートの楽しさ・癒し・地球環境についてのメッセージ」を伝えることを目的とし、事前に①食堂の調度物の配置換えと入口・天井・壁面に飾りつけをし、②ランチョンマット(オリジナル制作)を設え、➂別室ホール壁面に科学探査船タラ号の活動紹介パネルを設置した。また利用者参加の場として、食堂入口付近の廊下に④自由に書き込みできるスペースとしてメッセージボードを設置し、⑤工作コーナーを設けた。DOORメンバーに子どもたちとほぼ同世代の現役藝大生がいたため、随所に彼のデザインを活用しコンセプトの主軸とした。

 

<全体を通しての感想>

事前の取材や若者食堂への参加を通して、この地域の子どもたちが、スタッフの方々のご尽力や関係各所により育まれていることを理解し、家庭や学校以外の子どもの居場所の存在意義を知ることとなった。また、後日スタッフの方々から種々のご感想を頂いた中で、コミュニケーションが苦手な子どもがDOORメンバー藝大生の描いたメッセージの絵に刺激を受けて、自らも描き込みをしたことを伺ったことが印象的であった。そのことで「アートを介してのふれあい」が直接語り合う機会がなくとも発生しうるていたことに感銘を受けた。

 

(文責:中高生センター ジャンプ東池袋チーム)

講師プロフィール

建築家/teco

金野千恵

1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学などにて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕 組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。
http://te-co.jp