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2021
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ケア実践場面分析演習 各チーム制作 実習先:養育里親K家

講師: 金野千恵(建築家/teco)
<実習先の概要>

養育里親。様々な事情により家族と暮らせない子どもを一定期間自分の家庭で養育する里親のこと。

 

<実習の様子・テーマの設定までの道のりなど>

初回訪問はKさんのご自宅でした。実習とはいえ初対面のご家族のお宅にいきなり伺うということで少し戸惑いもありました。養育里親とは何か、頭で考えたり、いろいろ想像を巡らすことはできても、なかなかぼんやりした思考から抜け出せません。ところがどっこい、出会ってみればどうでしょう。目の前に現れたのは、里親とか家族とか、そんなふわふわした何かではなくて、とっても素敵な個性と思いやりのある4人組なのでした。

みんなでピクニックに出かけたり、どうすればKさんたちに楽しんでもらえるかな?とワークショップを考えたりするのが面白くて仕方ない、そんな朗らかな実習でした。

 

<作品のタイトル>

「家族ではとばす!」

 

<作品について(概要・誰に伝えたいかなど)>

家族だとか血縁だとか、生まれてからずっと、気づけばそれらは自分を支えてくれて、どうしようもなく愛おしい。でも同時に、どうしてこんなに苦しくて、絡みついてほどけないものなのか。実習を通してメンバーそれぞれが自身の経験や過去・未来を見つめ、そうしてわかったことは、ほんとうに愛おしいものに意味など必要ないんだということ。笑ったり泣いたり怒ったり、出会ったり別れたりしてきた記憶と記憶の間に、なんてことない、特に意味もない瞬間が満ちている。それが今の自分をかげから支えてくれている。だから、いつかまた支えが欲しくなった時のために、今見える空を、風の流れを、憧れや、胸のうちに感じる燈や、訳のわからない空想さえも、何度も何度も凝縮して、いつかのために残しておこう。そうしてできたのがあのオブジェです。思い出をたくさんの人に話して伝えてください。等身大の貴方達が好きです。どうか思うまま突き進んでください。ぶつかっても迷ってもきっと大丈夫です!

 

<全体を通しての感想>

この実習で出会った人々、それぞれの物語の中のかけがえのない瞬間に立ち会えたこと、それが何よりも嬉しく、幸せだったと心から思います。

 

(文責:養育里親K家チーム

講師プロフィール

建築家/teco

金野千恵

1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学などにて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕 組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。
http://te-co.jp