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2021
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ケア実践場面分析演習 各チーム制作 実習先:ロング朋子さん

講師: 金野千恵(建築家/teco)
<実習先の概要>

社会福祉士であり、母であり、里親であるロング朋子さん。思いがけず妊娠して悩んでいる女性に寄り添い、最善の方法を共に考えること、をベアホープという一般社団法人で行っています。 一方で、養子を迎えることを望む夫婦に対しての教育やサポートを行っており、子どもを迎える家族に伴走し続けています。 DOORのケア実践演習を通して私たちはロングさんとお会いしました。 

<実習の様子・テーマの設定までの道のりなど>
そして、ロングさんとお話する中で受け取ったのは、たぶん、ロングさんの愛、だったのだと思います。愛を、冷静な頭脳とシステムを使って現実の世界に実働させている、それがロングさんでした。「ソーシャルワークとしての養子縁組」を目指すベアホープ。どんな命でも、神様が愛し肯定した命。その命をこの地球の上に生み出すことを決めた親。生んではいなくても、自分の愛する子どもとして家族になることを決めた育ての親。そのたくさんの人たち全員を肯定し、つないでいくベアホープ。

<作品のタイトル>
You are so loved

<作品について(概要・誰に伝えたいかなど)
初めてお話した時に、ああ、編みつないでいくknittingのようだ、というイメージが浮かんだのです。ロングさんご自身も養親さんに、毛糸などを編んでもらうことがある、ということをのちに教えていただきました。三つ編みでもなんでもいい。違う数本の糸を合わせてそこにしかない新しい形が出来上がっていく様子。家族、というもののイメージを持つために考えたワークです。もう一つ、養親さんに家族のイメージとして伝えるのが、米国のアーティストが作った40種類上の花が咲く木。接ぎ木でたくさんの種類の樹木を1本の幹につなぐのです。丁寧に世話をし続けないと育たない、でも、上手に育てると世界にたった一つのたくさんの花が咲く木になる。
私たちはknittingで接ぎ木していくイメージで、knitで編みつながれるような、花が咲くような制作物を作りました。もう一つ、ベアホープの「情報」ではなく、「愛」の部分を伝えたくて、プロモーション動画を作りました。

<全体を通しての感想>
私たちが受け取ったロングさんの愛が、どうぞ伝わりますように。 ロングさんと話し、作品を作っていく過程の中で、私たち自身の抱えている葛藤やいろんな思いが、ほどけて、しこりのように固く結ばれていた紐が解けるような気がしました。そうして世界を見直してみると、この世界はもっと光っているような場所でした。

 

(文責:ロング朋子さんチーム)

講師プロフィール

建築家/teco

金野千恵

1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学などにて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕 組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。
http://te-co.jp