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2017
10/30

アーティストの活動・文化事業から考える1 「ココルームの活動について」

講師: 上田假奈代 (詩人、NPO法人こえとことばとこころの部屋 代表)
3歳より詩作、17歳から朗読を開始した上田假奈代さん。2001年「詩業家宣言」したばかりの頃、大阪市が、新世界にあった娯楽施設フェスティバルゲートの空き物件に現代美術拠点形成事業を立ち上げることになり、上田さんにも声がかかりました。そして2003年に「表現と自律と仕事と社会」をテーマに、社会と表現の関わりを探る「ココルーム」を設立。2008年からは、日雇い労働者や路上生活者が多く居住する、西成区の釜ヶ崎に拠点を移し、「釜ヶ崎芸術大学」など年間100の講座と8つのプログラムを精力的に展開しています。

地域で活動を続け、ワークショップへの参加も働きかける上田さんに対し、釜ヶ崎の人たちの反応は様々です。時にコミュニケーションをとることが難しいと感じる中、最初は参加を拒否し続けていた人が、ある日参加の意向を示すことも。一人一人と時間を共有していくことで気が付いたのは、参加者が表現を「するのか/しないのか・できるのか/できないのか」は、「表現をする側の問題ではなく、表現を受け止める側の問題だったのでは」と語りました。

講義の後半では、釜ヶ崎芸術大学などで実践されている、詩作のワークショップを試みました。2人1組になり「身体のどこかについて語る」「人生は一冊の本である」「思い出の場所について」という3つのテーマから一つを選び、お互いを取材し、相手についての詩を作り、贈り合います。相手の経験であるにも関らず、真に迫った詩が生まれ、講義室は盛り上がりました。

(レポート:畑)

講師プロフィール

詩人、NPO法人こえとことばとこころの部屋 代表

上田假奈代 

1969年生まれ。3歳より詩作、17歳から朗読をはじめる。92年から詩のワークショップを手がける。
2001年「詩業家宣言」を行い、さまざまなワークショップメソッドを開発し、全国で活動。
2003年ココルームをたちあげ「表現と自律と仕事と社会」をテーマに社会と表現の関わりをさぐる。
2008年から西成区(通称・釜ヶ崎)で喫茶店のふりをしている。
「ヨコハマトリエンナーレ2014」に釜ヶ崎芸術大学として参加。
NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表。
大阪市立大学都市研究プラザ研究員。
2014年度 文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞www.cocoroom.org

Photo:森善之