1967年 神奈川県生まれ。1992年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了後、本学彫刻科助手、文化庁派遣芸術家在外研修員、本学彫刻科非常勤講師等を経て、2011年より神奈川県立高校教員、2019年より現職。傍ら美術家としてインスタレーション、彫刻作品を発表。近年は主に美術家コレクティブ「力五山 (加藤力 渡辺五大 山崎真一)」として活動。
越後妻有アートトリエンナーレ(2009~22)、奥能登国際芸術祭(2017,21)UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川(2021〜24)、瀬戸内国際芸術祭(2013)、等に参加。
- 必修科目
- ケア実践場面分析演習
2025
1/28
ケア実践場面分析演習 企画【イベント「光と影のアート体験」/制作物「児童館には中高生タイムがあるよ」を知ってもらうチラシ案】
講師:
渡邉五大(東京藝術大学大学院美術研究科美術教育研究室教授)


<チーム名(テーマ)>
若者OB(若者)
<見つけた地域の課題>
1 度目のフィールドワークの後もエリアのリサーチを続けるのと並行し、台東区が発表している「台東区次世代育成支援に関するニーズ調査(令和5 年度)」の資料も参考にしました。そこから中高生は放課後に行きたい場所の理想像はあるものの、9 割以上が児童館を利用していないという点に注目し、「若者の居場所」って何?という疑問が浮かんできました。
<企画・制作までの道のり>
児童館は中高生にとってどのような場所なのかを知るために、中高生専用の時間帯「中高生タイム」を設けている池之端児童館に訪問しました。そこでわかったことが2 点。一つは、児童館は息抜きできる大切な居場所になっていること。もう一つは、職員さんたちが中高生に対しては、家族でも先生でもない「ナナメの関係」として接しているということでした。地域で子どもたちを見守る「ナナメの関係」。このような大人の必要性を感じました。
その後も「そもそも居場所とは何なのか?」「若者の居場所をつくることはできるか?」などを話し合う中で、ナナメの関係の私たちが、池之端児童館で藝大生とともにアートに関わるイベントを行うことで、より大切な居場所と感じてもらうことはできないかと考え、この企画にしました。
<企画名>
・イベント:「光と影のアート体験」
・制作物:「児童館には中高生タイムがあるよ」を知ってもらうチラシ案
<企画概要>
【光と影のアート体験】 「いつも遊んでいる遊戯室が、今日は真っ暗で、光が輝く空間に!」 文化祭の時に教室がお化け屋敷に変身するような特別感に似た、見慣れた空間が別世界に見える体験。 その空間で、ペンライトで好きな文字や図形を描いて“映える”写真を撮ってみる。 あまり子どもっぽくなく、且つ我々は場をつくることに徹し、参加してくれた中高生たちの側で楽しみ 方を広げてもらえるような企画にしました。 リハーサル日の設定や備品の貸し出しなど児童館のご協力と、事前の打ち合わせから当日まで藝大生の 皆さんが加わってサポートいただいたおかげで、実現することができました。
【チラシ案】 児童館のような居場所を必要としているけど、自分たちの世代を対象とした施設だと感じていない中高 生に向け、「児童館には中高生専用の時間帯があるんだよ」ということを知ってもらえたら。 そんな思いを込め、実際にこんなチラシがあったら良いなと思う案を考え作成しました。
<全体を通してのチームの感想>
「若者の居場所」という壮大なテーマを掲げたときに、何ができるのかをチーム内で話し合う過程がとても難題でした。そして、結果的に池之端児童館と出会えたことに心から感謝しています。職員さんから「まずは中高生の様子を知ってほしい」「そのためにいつ来てもいいよ」と温かく言っていただけたことが、どれだけ我々の学びにつながったか。“推し”のことを職員さんに語る子、全力でボール遊びに加わる職員さん、そんな何気ない日常を目にし、「居場所」「ナナメの関係」についてさらに考えるようになりました。
また、実はイベント開催当日、残念ながら中高生の来館はゼロで、学童で残っていた小学生に参加してもらう結果となりました。元気いっぱい楽しんでもらえた半面、中高生の反応を見たかったという心残りもありましたが、関係づくりには時間が必要だという気づきも得ました。
(文責:若者OBチーム)
若者OB(若者)
<見つけた地域の課題>
1 度目のフィールドワークの後もエリアのリサーチを続けるのと並行し、台東区が発表している「台東区次世代育成支援に関するニーズ調査(令和5 年度)」の資料も参考にしました。そこから中高生は放課後に行きたい場所の理想像はあるものの、9 割以上が児童館を利用していないという点に注目し、「若者の居場所」って何?という疑問が浮かんできました。
<企画・制作までの道のり>
児童館は中高生にとってどのような場所なのかを知るために、中高生専用の時間帯「中高生タイム」を設けている池之端児童館に訪問しました。そこでわかったことが2 点。一つは、児童館は息抜きできる大切な居場所になっていること。もう一つは、職員さんたちが中高生に対しては、家族でも先生でもない「ナナメの関係」として接しているということでした。地域で子どもたちを見守る「ナナメの関係」。このような大人の必要性を感じました。
その後も「そもそも居場所とは何なのか?」「若者の居場所をつくることはできるか?」などを話し合う中で、ナナメの関係の私たちが、池之端児童館で藝大生とともにアートに関わるイベントを行うことで、より大切な居場所と感じてもらうことはできないかと考え、この企画にしました。
<企画名>
・イベント:「光と影のアート体験」
・制作物:「児童館には中高生タイムがあるよ」を知ってもらうチラシ案
<企画概要>
【光と影のアート体験】 「いつも遊んでいる遊戯室が、今日は真っ暗で、光が輝く空間に!」 文化祭の時に教室がお化け屋敷に変身するような特別感に似た、見慣れた空間が別世界に見える体験。 その空間で、ペンライトで好きな文字や図形を描いて“映える”写真を撮ってみる。 あまり子どもっぽくなく、且つ我々は場をつくることに徹し、参加してくれた中高生たちの側で楽しみ 方を広げてもらえるような企画にしました。 リハーサル日の設定や備品の貸し出しなど児童館のご協力と、事前の打ち合わせから当日まで藝大生の 皆さんが加わってサポートいただいたおかげで、実現することができました。
【チラシ案】 児童館のような居場所を必要としているけど、自分たちの世代を対象とした施設だと感じていない中高 生に向け、「児童館には中高生専用の時間帯があるんだよ」ということを知ってもらえたら。 そんな思いを込め、実際にこんなチラシがあったら良いなと思う案を考え作成しました。
<全体を通してのチームの感想>
「若者の居場所」という壮大なテーマを掲げたときに、何ができるのかをチーム内で話し合う過程がとても難題でした。そして、結果的に池之端児童館と出会えたことに心から感謝しています。職員さんから「まずは中高生の様子を知ってほしい」「そのためにいつ来てもいいよ」と温かく言っていただけたことが、どれだけ我々の学びにつながったか。“推し”のことを職員さんに語る子、全力でボール遊びに加わる職員さん、そんな何気ない日常を目にし、「居場所」「ナナメの関係」についてさらに考えるようになりました。
また、実はイベント開催当日、残念ながら中高生の来館はゼロで、学童で残っていた小学生に参加してもらう結果となりました。元気いっぱい楽しんでもらえた半面、中高生の反応を見たかったという心残りもありましたが、関係づくりには時間が必要だという気づきも得ました。
(文責:若者OBチーム)
講師プロフィール

東京藝術大学大学院美術研究科美術教育研究室教授