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2021
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ダイバーシティ実践論12「SDGsの17のゴールに芸術が無いのは何故か?」

講師: 国谷 裕子(東京藝術大学 理事、キャスター)/蟹江 憲史(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授)/日比野 克彦(東京藝術大学 美術学部長)
本日は、SDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」について3人の先生に講義をして頂き、今年度最後のダイバーシティ実践論ということで1年間の振り返りも行われました。最近目にする機会が増えたカラフルなシンボルが特徴のSDGs。蟹江憲史先生、国谷裕子先生、日比野克彦先生に各専門分野から見たSDGsを語って頂きます。

はじめに、日比野先生から福祉と芸術をテーマに行われているDOORの各種講義の概要説明と、東京藝術大学が2年前に始めた「I LOVE YOU」プロジェクトについての紹介がありました。「I LOVE YOU」プロジェクトとは、芸術が持つ無限の可能性を社会に向けて伝えていく全学的な取り組みです。このプロジェクトのコンセプトに沿った企画、SDGsが示す17の目標と169のターゲットに貢献する企画を募集するにあたり、SDGsとは何かについて説明して頂きます。 

 日比野先生と国谷先生の対談において、「藝大に呼ばれてどう感じましたか?」という日比野先生からの質問に、国谷先生は「芸術と関わりのない私が呼ばれたのは、藝大に社会ともっと繋がりたいという想いがあるからだと感じた。」と答えました。今回のテーマであるSDGsは「脱炭素社会」「循環型経済=サーキュラーエコノミー」「誰一人取り残されない社会」の実現を2030年までに達成するための取り組みのことで、パリ協定と共に世界共通の課題となっています。SDGsの17の目標を立体化すると、基盤に地球環境、真ん中に社会活動、最上部に経済活動となります。この17の目標は何一つとして他人事ではありません。日比野先生は、SDGsの17の目標に芸術は無いけれども、全ての目標に芸術は繋がっており、また全ての現象に芸術はすでにあると考えています。国谷先生のお話に対し、芸術や芸術家もSDGsに関わっていけるだろうとコメントしました。

 次に、蟹江先生にビデオ出演という形で慶應義塾大学SFC研究所xSDG・ラボでの取り組みについてお話いただきました。蟹江先生は、学生や企業と共にSDGsを考え発信しています。「SDGsに芸術は入っていないが、人の心を動かすために芸術が果たす役割は非常に大きいと考える。」と仰いました。今回の講義で、これからの社会と芸術との関わり方が見えたのではないでしょうか。

東京藝大「I LOVE YOU」プロジェクト2021

https://iloveyou.geidai.ac.jp/

講師プロフィール

東京藝術大学 理事、キャスター

国谷 裕子

大阪府生まれ。米ブラウン大学卒。東京藝術大学理事、慶應義塾大学特任教授、FAO(国
連食糧農業機関)親善大使。1993年から2016年3月までNHK「クローズアップ現代」キャ
スター。現在、SDGs(持続可能な開発目標)の取材・啓発活動を行なっている。

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授

蟹江 憲史

慶應義塾大学SFC研究所✖SDG・ラボ代表、国連大学サステイナビリティ高等研究所
(UNU-IAS)非常勤教授。北九州市立大学助教授、東京工業大学大学院社会理工学研究
科准教授を経て、2015年より現職。
専門は国際関係論、地球システム・ガバナンス。国連におけるSDGs策定に、構想段階か
ら参画。SDGs研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図っている。
日本政府SDGs推進本部円卓会議構成員、内閣府地方創生推進事務局自治体SDGs推
進評価・調査検討会委員などを務める。
近著に「SDGs(持続可能な開発目標)」中公新書(2020年8月刊行)がある。
国連Global Sustainable Development Report (GSDR)の2023年版執筆の独立科学者15人
に選ばれている。博士(政策・メディア)。

東京藝術大学 美術学部長

日比野 克彦

1958年岐阜市生まれ。1984年東京藝術大学大学院修了。1982年日本グラフィック展大賞
受賞。平成27 年度芸術選奨文部科学大臣賞(芸術振興部門)。地域性を生かしたアート活
動を展開。「明後日新聞社 文化事業部/明後日朝顔」(2003〜現在)、「アジア代表」(2006年
〜現在)、「瀬戸内海底探査船美術館」 (2010年〜現在)、「種は船航海プロジェクト」(2012
年〜現在)等。2014年より異なる背景を持った人たちの交流をはかるアートプログラム
「TURN」を監修。現在、東京藝術大学美術学部長、先端芸術表現科教授。岐阜県美術館
長、日本サッカー協会社会貢献委員会委員長、東京都芸術文化評議会専門委員、公益財
団法人日本交通文化協会理事を務める。