1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学など゙にて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。2021年より、京都工芸繊維大特任准教授。
- 必修科目
- ケア実践場面分析演習
2023
12/17
ケア実践場面分析演習 作品【「オテテのゆめのぼうけん」supported by なんじゃえほんじゃ】
講師:
金野千恵(建築家 / t e c o)
<実習先>
社会福祉法⼈ 中⼼会 児童養護施設 相模原南児童ホーム
<実習先の概要>
2014 年4⽉に相模原市南区に開設された乳児院と児童養護施設の合築施設。ここで暮らすほとんどの⼦ども達の入所理由は虐待です。(※虐待とは身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(保護の怠慢)及び心理的虐待)「あなたがいてくれて良かったと思える街づくり」を合⾔葉に、⼦ども⼀⼈ひとりを「かけがえのない存在」として受け⽌め、⽇々の養育⽀援を⾏っています。
<実習の様子・テーマの設定までの道のりなど>
はじめての実習。そこで⽬にしたのは、今まで想像していたどこか可哀想な⼦どもではなく、想像⼒に溢れた無邪気な可愛らしい⼦どもの姿でした。児童養護施設と⾔われると「⾃分には養護はできないから」と距離ができてしまいます。しかし、児童養護施設を養護する“だけ”の場ではなく“⼦どもの可能性が集まる場”と捉え直したとき、「サッカーして⼀緒に遊ぼうかな」「お絵かきを教えてあげたいな」といろいろな関わり⽅の選択肢が増えます。ホームと世の中の距離を縮める鍵は“⼦どもらしさそのもの”だという気づきを元に、ホームの⼦ども達の“⼦どもらしさそのもの”を伝える⽅法として絵本の制作を考えました。
<作品タイトル>
「オテテのゆめのぼうけん」supported by なんじゃえほんじゃ
<作品情報>
絵本(A4サイズ、 35 ページ)
【絵本読み聞かせ動画/紙芝居バージョン】https://www.youtube.com/watch?v=2i9M748kGL0
【絵本読み聞かせ動画/見開きバージョン】https://youtu.be/2A5tnXUFL1s
<作品の概要>
この絵本の作家は⼦ども達。お絵描きワークショップを通して⼦ども達が描いた「絵」と、絵を描きながらこぼれた⼦ども達の「⾔葉」をひとつの物語にまとめました。ワークショップでは事前にテーマ「この指とまれ」「もしも魔法がつかえたら」を決めて実⾏しましたが、⼦どもの想像⼒はテーマを⼤きく超え、絵本化にあたり、テーマを再構築。指にとまる様々なモノたち、ではなく、指があらゆるものと出会う物語として、主⼈公のオテテは、奇想天外な夢の冒険にでかけます。
あとがきでは、社会的養護の現状や私達にできることをまとめました。この絵本はカフェや図書館などに配架し、様々な⼈が興味を持つきっかけ作りを⽬指します。また、制作までの過程をマニュアル化し、全国のホームで展開できる仕掛け作りを⾏いました。
<全体を通してのチームの感想>
思い返すと、ごく⾃然な流れでこの絵本は⽣まれました。ホームへ⾏くときはいつも、うまくいくか悩んだり⼼配を抱えていました。けれど、現場に⼊り、⼦どもに会い、働く方々に会うなかで、その悩み達は⾃然と答えに姿を変えました。いや、⼦ども達や、スタッフの皆さんが毎回答えに変えてくれました。⼦ども達の想像⼒や⼒強さ、スタッフの皆さんの何気ない⼀⾔や⼦ども達との厚い信頼関係。そこに、斜めの関係にある私達の外の⽬線がほんのちょっとのスパイスとして。3つが何重にも混ざり合って⽣まれたからこそ、ホームでの素敵なひとときの匂いがする、⼤切で愛おしいと思える作品作りができました。なんじゃえほんじゃは始まったばかり。次はどんな⼦ども達との物語が紡げるのでしょうか。
(文責:社会福祉法⼈ 中⼼会 児童養護施設 相模原南児童ホームチーム)
社会福祉法⼈ 中⼼会 児童養護施設 相模原南児童ホーム
<実習先の概要>
2014 年4⽉に相模原市南区に開設された乳児院と児童養護施設の合築施設。ここで暮らすほとんどの⼦ども達の入所理由は虐待です。(※虐待とは身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(保護の怠慢)及び心理的虐待)「あなたがいてくれて良かったと思える街づくり」を合⾔葉に、⼦ども⼀⼈ひとりを「かけがえのない存在」として受け⽌め、⽇々の養育⽀援を⾏っています。
<実習の様子・テーマの設定までの道のりなど>
はじめての実習。そこで⽬にしたのは、今まで想像していたどこか可哀想な⼦どもではなく、想像⼒に溢れた無邪気な可愛らしい⼦どもの姿でした。児童養護施設と⾔われると「⾃分には養護はできないから」と距離ができてしまいます。しかし、児童養護施設を養護する“だけ”の場ではなく“⼦どもの可能性が集まる場”と捉え直したとき、「サッカーして⼀緒に遊ぼうかな」「お絵かきを教えてあげたいな」といろいろな関わり⽅の選択肢が増えます。ホームと世の中の距離を縮める鍵は“⼦どもらしさそのもの”だという気づきを元に、ホームの⼦ども達の“⼦どもらしさそのもの”を伝える⽅法として絵本の制作を考えました。
<作品タイトル>
「オテテのゆめのぼうけん」supported by なんじゃえほんじゃ
<作品情報>
絵本(A4サイズ、 35 ページ)
【絵本読み聞かせ動画/紙芝居バージョン】https://www.youtube.com/watch?v=2i9M748kGL0
【絵本読み聞かせ動画/見開きバージョン】https://youtu.be/2A5tnXUFL1s
<作品の概要>
この絵本の作家は⼦ども達。お絵描きワークショップを通して⼦ども達が描いた「絵」と、絵を描きながらこぼれた⼦ども達の「⾔葉」をひとつの物語にまとめました。ワークショップでは事前にテーマ「この指とまれ」「もしも魔法がつかえたら」を決めて実⾏しましたが、⼦どもの想像⼒はテーマを⼤きく超え、絵本化にあたり、テーマを再構築。指にとまる様々なモノたち、ではなく、指があらゆるものと出会う物語として、主⼈公のオテテは、奇想天外な夢の冒険にでかけます。
あとがきでは、社会的養護の現状や私達にできることをまとめました。この絵本はカフェや図書館などに配架し、様々な⼈が興味を持つきっかけ作りを⽬指します。また、制作までの過程をマニュアル化し、全国のホームで展開できる仕掛け作りを⾏いました。
<全体を通してのチームの感想>
思い返すと、ごく⾃然な流れでこの絵本は⽣まれました。ホームへ⾏くときはいつも、うまくいくか悩んだり⼼配を抱えていました。けれど、現場に⼊り、⼦どもに会い、働く方々に会うなかで、その悩み達は⾃然と答えに姿を変えました。いや、⼦ども達や、スタッフの皆さんが毎回答えに変えてくれました。⼦ども達の想像⼒や⼒強さ、スタッフの皆さんの何気ない⼀⾔や⼦ども達との厚い信頼関係。そこに、斜めの関係にある私達の外の⽬線がほんのちょっとのスパイスとして。3つが何重にも混ざり合って⽣まれたからこそ、ホームでの素敵なひとときの匂いがする、⼤切で愛おしいと思える作品作りができました。なんじゃえほんじゃは始まったばかり。次はどんな⼦ども達との物語が紡げるのでしょうか。
(文責:社会福祉法⼈ 中⼼会 児童養護施設 相模原南児童ホームチーム)
講師プロフィール
建築家 / t e c o